アニッシュの記事 2013年8月

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アニッシュのワールドカップ自戦記

[2013.09.07]

アニッシュがワールドカップでの自分のゲームを解説

anish

アニッシュ(左)とセコンドのスメーツ(右) © Official Site

ワールドカップでの自分のゲームを解説

 アニッシュがワールドカップでの自分のゲームを解説しています。

 近日中に2局とも日本語になる予定です。これまで通り、中学生でも理解できるような言葉を選び、難しい部分には著者の了解を得て注釈を入れました。それを見やすいビューワーで提供しています。

 世界トップ・クラスのチェスがどのくらいすごいのか、今回はいつにも増して示唆に富んだ内容になっています。

 解説しているのは2局。対サレム・サレー戦と対リー・チャオ戦で、どちらも1局目。非常に内容の濃いゲーム。しかも、解説は軽妙なアニッシュです。

1局目サレム戦の日本語訳が完成

 まずは1局目サレム戦の日本語訳が完成しました。棋譜や解説を斜め読みするだけでもチェスの実力向上に役立つと思います。

salemgiri
game2013_08worldcup.html

 

 開始直後からキングサイドにおそいかかるサレム(将来有望なアラビアの若手)に対し、カスパロフ直伝の受けでかわすアニッシュ。 若き2人の天才マスターがくりひろげた壮絶なゲーム。攻め続けるサレムの剣先を見切って反撃に転じるアニッシュの読みが勝敗を分けました。

 ぜひご覧ください!

アニッシュのワールドカップ自戦記


スパニッシュ・リーグ 2013 (1)

[2013.09.03]

アニッシュがスペイン・チェス・チーム選手権 最上位クラスに参加


2013年 9月8日~14日

スパニッシュ・リーグ2013(スペイン・チェス・チーム選手権)



 参加者の情報や、ライブは今のところチェスダム(英語)が早いようです。

chessdom


トロムソ・FIDEワールドカップ (10)

[2013.08.29]

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>  トロムソ・FIDEワールドカップ

  [ゲーム解説]   [ライブ(午後10時~)]
  [Chessbase]   [Chessvibes]   [ビデオ]

7回戦 決勝

 さあ、いよいよ決勝戦。クラムニック対アンドレイキン。トップ・プロ128人の頂点に立つのは?

 決勝戦だけはクラシカルが4局のマッチになっています。 大会公式サイト では、8月30日(金)の日本時間午後10時からクラシカル第1局をネットでライブ中継!

第1局 8月30日

final

©Official website

 第1局は、クラムニックの勝ちでした。

 チェスとはこのように勝てばいいのかという見本のようなゲームだったように思います。

 確かに白はプレッシャーをかけ続けていましたが、黒はねばり強くディフェンスしていました。しかし、正確に受けるために持ち時間を使うアンドレイキン、短時間で難題を解かなければいけないようになり、段々と苦しくなっていきました。

 気がつけば、白がルーク2個、黒がクイーンの白優勢なエンドゲームになっていました。こうなればクラムニックはまちがいません。さらにねばるアンドレイキンを63手で振りきりました。

 アンドレイキンにしてみれば、内容が良く、「何が悪かったか分からない」ゲームで負けたのは痛いところです。

 決勝戦にふさわしいレベルの高いゲームでしたが、クラムニックが勝ったということで、せっかくクラシカルが4局もある決勝のマッチですが、残念ながら一方的な展開になりそうな気がします。アンドレイキンには2局目の白番でがんばってもらい、見せ場を作って欲しいところですが、意地を見せることができるでしょうか。

第2局 8月31日

 勝ちに行くアンドレイキンでしたが、ドローをとるプレーに徹するクラムニックに対し、主導権を取る場面はあまりなく、33手でドローになりました。(・・・と見ていましたが、マスターの解説によるとクラムニックがかろうじてドローに逃げたという見方だったようです。確かに正確な受けが要求される場面はありました。アンドレイキンががんばったゲームだったようですが、惜しいことをしました。)

第3局 9月 1日

 アンドレイキンはチェバネンコ・スラブでうまく戦いましたが、無理をしないクラムニックに楽にドローを許しています。しかし、最後の1局の白番に逆転をかける状況は作りました。

第4局 9月 2日

 最終局。アンドレイキンは白番で勝つしかありません。しかし、シンメトリカル・イングリッシュの形から、アンドレイキンが局面の単純化をさけるたびにさらに悪くなるという展開。アンドレイキンが34手で「勝てません!」という意味のドロー・オファーをしたときにはすでに黒優勢でした。

クラムニックが頂点に!

kramnik

©Official website

 クラムニックが頂点に立ちました!

 今、世界チャンピオンのアナンドにレーティング世界一のカールセンがインドのムンバイで挑戦しようとしています。

 一方、このワールドカップは、ある意味この瞬間のガチンコ勝負で世界一を決める大会であり、ここで一番になったクラムニックのうれしさは格別だったことでしょう。何回も世界選手権を戦っているクラムニックですが、まだ次の挑戦権もねらえることを示す結果だったと思います。

 準優勝となったアンドレイキンは、決勝で負けたとはいえ、内容は決して悪くありませんでしたし、それ以前に、レーティングからいえばここまで勝ち上がったことが大きな達成点でした。これからの活躍が楽しみプレイヤーの一人になったと思います。

[2013.09.03]


ワールドカップ2013の自戦記

[2013.08.28]

勝利者としてふさわしいのは僕よりジュリオ・グランダの方だった・・・

 アニッシュ・ギリが世界選手権予選もかねたチェスのワールドカップに出場しました。128人で行う勝ち抜き戦です。各マッチは1試合ではなく、公平に白番と黒番の2試合で決めます。 (これで決まらない場合はタイブレークの延長戦)

 非常にすばらしい内容で3回戦まで進み、このまま行けるかと思われましたが、そこで格下のペルーのGMジュリオ・グランダ相手にさえない形で負けてしまいました。一体どうしたのでしょうか。その一部始終を、以下アニッシュが自身の言葉で語ります。

 なお、ゲーム解説の日本語版の掲載は、しばらくお待ち下さい。

初体験の勝ち抜き戦


©Official website

 勝ち抜き戦という形式の大会に出るのが、ハイレベルでは初体験になったのが、8月からトロムソで実施されているワールドカップだった。この前のワールドカップでは、ヨーロッパ選手権に勝って出る予定が、僕の成績不振に終わり、選出されなかったのだ。しかし、今回は幸運にもレーティングだけで晴れて出場できることになった訳だ。

 ノックアウト・トーナメント(勝ち抜き戦)では、普通ならば、シード順が高いプレイヤーであれば勝ち抜くたびにだんだんと強い相手に当たることになる。ところが僕の方は最初から強いグランド・マスターとばかり当たることになった。とにかく3回戦目が最後となってしまったのは残念だ。

 僕の最初の相手は、若くて将来が約束されたグランド・マスター、アラブ・チェス界のホープであるサレムだった。僕らは両方とも準備期間が1ヶ月もあった訳だが、それでも、その準備期間を有効に使うのは難しかった。第一に、序盤準備のやり過ぎになってしまうし、第二に、次に当たるプレイヤーが誰か分からないので、先に準備しておこうということが困難だからだ。それでも、何とか、いろいろなアイディアで理論武装することができ、このエキサイティングな大会に出ることを、僕は楽しみにしていた。


©Official website

 その大会の最初のゲームは、ペアリングの結果、僕が黒番だった。相手は、堅実なチェスで来ると予想していた。白番で楽にドローを取って調子を上げ、黒番となる次のゲームに照準を合わせてくると、僕は思っていたのだ。(そうなれば、僕のレーティングが高いことを示す機会は2局目だけだ!)

 ところが、相手は、攻撃的なスタイルそのままに、開始直後から僕の堅いクイーンズ・ギャンビットの陣形にキングサイドのポーンを突いて攻めてきた。局面はずっと僕が良かったとは言え、それでも気が気じゃないのは確かだった。だが、幸運なことに、相手にはいくつか読みちがいがあり、反撃できる時点でカウンター・パンチをミスってしまった。

A・R・サレー・サレム vs. アニッシュ・ギリ (ゲーム解説はまだ英語です)

次のラウンドへ勝ち上がる

 2局目では僕の経験不足が前面に出てしまった。1局目を勝ってかなり優位に立ったのに、すっかり浮き足立っていた。ドローにすればいいだけなのに、僕は始めから全力で戦っていた。勝ちに行くとしたら僕の方だけの(とはいえ普通は勝ち切れない)そんな中途半端に優勢なエンドゲームまで持って行った末に、ドローの申し出をすることになった。いずれにしても、このドローで僕は次のラウンドへ勝ち上がることができた。

©Official website

 さて、大会の参加者は3つの集団に分かれ始めていた。ひとつは最初のマッチに勝ってウキウキしている集団。もうひとつは帰りの飛行機を予約しなければならない非常にがっかりしている集団、そして、まだ決まらずに、タイブレーク(延長戦)を前にして緊張している集団だ。僕の相手、リー・チャオは、第3のグループに入っていた。彼はポツニーとの戦いをまだ続けていて、その後、成功のうちにラピッドのタイブレークを 1.5 対 0.5 で締めくくった。

 リー・チャオに白番で対戦した僕は、この前のマッチでサレムに対して使った定跡を繰り返さない理由はないと思った。(それぞれ独自の得意技を持つ二人のプレイヤーに対して、同じアイディアで準備することは、かなりの省力化になるのだ!)幸運だったのは、僕の g3 グリュンフェルトに対して使ってきた相手の Nc6 システムについて、しっかりと研究していたことだった。有名なグランド・マスター(現在オランダに住んでいる)ニコリッチがこのシステムで数多くのゲームに使っていたので、彼の真似をすればいいことに僕はすぐ気づいていた。

アニッシュ・ギリ vs. リー・チャオ (ゲーム解説はまだ英語です)

ゴースト!

 2局目を前にしてプレパレーション(序盤準備)をしていたときだった。自分の用意した定跡手順を確認していると、その手順が突然悪く見えるゴースト(お化け)が、あらゆる所に出現するようになり、それで何だか気持ちが落ち着かなくなった。

 そんなとき、1回戦でノックアウトされたばかりのヤン・スメーツが僕のセコンドだったのは幸運だった。彼がこのゴースト問題を解決してくれたおかげで、何とか自信を持って2局目のゲームに臨むことが出来た。それで、これまでの定跡で考えられなかった局面でポーンをサクリファイスする(捨てる)ことにそれほど恐怖感はなかった。リー・チャオはこのゲームの成り行きが気に入らなかったのか、あるいは過大評価していたのか、それは分からないが、いずれにせよすぐに大ポカをやらかした。そのおかげで僕は何とか勝ちにつなげることができ、それで3回戦に勝ち進むことができた。

©Official website

 正直に言ってしまおう。僕の次のマッチの相手がペーター・レコでなく、彼に完勝したジュリオ・グランダになったのは大歓迎だった。ジュリオ・グランダがレコより格下で弱いから、などと思った訳ではない。(まあ、経験から言えばレーティングはかなり有効な指標なのだが・・・)それより、このような短期決戦において、相手をパニックにすることができるペーター・レコのプレパレーションがイヤだったからだ。

 ところが、この相手と戦う前に、僕は気持ちが乱れてしまった。会う人会う人、みんなが、相手がいかにカリスマなのかを語り出したからだった。僕にとって最悪となったこのマッチで、僕が慎重になり過ぎたのは、そのせいかもしれない。

 第1局、ジュリオ・グランダに白番で怪しげなオープニングを使われ、僕は完全におかしくなっていた。相手の持ち時間が少ないことを頼りにしながら、怪しげな手を駆使しながら、ハッタリをかましながら、僕は悪あがきでつないでいた。最後に両者とも疲れ果て、僕はドローに逃げるチャンスのある複雑な局面に目をつぶって飛び込んだ。ところが、それでも相手は正しい手を発見してきた。が、何と手順前後。それで相手のピース(駒)が落ちてしまった。

タイブレークに突入

 僕はラッキーだった訳だが、なぜかずっとパニック状態から抜け出せない感じがしていた。2局目も1局目と同じだったからだ。またもや相手は早い段階で g ポーンを突いてきた(第1局で g2-g4、第2局で g6-g5 )が、またまたこれが僕を混乱させたのだ。緊張で極限状態の中、僕はすでに安定しているポジションを安定させようとして、結局キングサイドにたくさんの弱点を作ってしまった。

 それでも、相手の持ち時間不足から、僕はほとんど逃げ切っていたのだが、最後、駒がぶつかり合う緊張状態を避けるべきところで、その緊張状態を持ち続け、大悪手を指し、1対1のスコアにしてしまった。これでタイブレーク(延長戦)に突入だ!

 それは、まったく同じシナリオが用意されたかのようなタイブレークの1局目だった。またもや何か早過ぎる相手の g4 ポーン突き、そして僕の慎重過ぎるプレー、それから相手の持ち時間不足からのチャンス。しかし、このときはそのチャンスを生かすことができず、負けてしまった。タイブレークの2局目、今度は僕の方が g ポーンを4段目まで突いた。しかし、それはまったく何の効力もなく、ちょっとでも勝利に近づいたところがなかった。

ブリッツ大会では優勝したのに

©Official website

 この敗戦は僕を混乱させた。負けた後も、僕は自分の調子が悪かった訳ではないと感じていたからだ。(それを証明するかのように、敗戦の夜に行われたブリッツ大会で、僕は12戦して11勝1ドローで優勝した)しかし、いずれにせよ僕にとって大会は終わってしまったのだ。

 しかも僕の天敵であったジュリオ・グランダが、最近調子を落としているカルアーナに対して2局とも自滅するように敗れ去るのを目の当たりにしたときには、何でだよっていう気持ちになった。

 とはいえ、勝利者としてふさわしいのは僕よりジュリオ・グランダの方だった。それは、疑いようもない事実だった。

 さて、これで僕は家に帰り、ワールドカップを観戦する側になり、休養をとるとしよう。どんな経験も将来必ず役に立つという意味で、価値がある、そう思うしかない。

 ちなみに、次はスパニッシュ・リーグ(スペインのチーム選手権)に参加し、イベリコのハモン(有名なスペインの生ハム)を食べて英気を養ってから、パリでの最終グランプリ大会(世界選手権予選シリーズ)に出場する予定だ。

[アニッシュ・ギリ]


ワールドカップ・ブリッツでアニッシュ・ギリが圧倒的に優勝!

 トロムソで8月19日に行われた ワールドカップ・ブリッツ (12ラウンド)で並みいるGMたちをしりぞけ、アニッシュ・ギリが11.5ポイントの圧倒的な成績で優勝しました!!

 これは持ち時間3分+2秒/1手累加で行われたワールドカップのサイド・イベント(本大会と並行して行われる催し)であり、大会にはデューボフ、スメーツなどのGMが29人中6人まざっていました。もちろん賞金がかかっている本格的なものです。

 第1シードのアニッシュが勝つのは当然かもしれませんが、それにしても12試合中ひとつのドロー以外全勝というのはぶっちぎりです。アニッシュ自身は「ブリッツは得意じゃない」らしいのですが、本当でしょうか?

 これがアニッシュ・ギリが書いた記事の中でふれていたブリッツ大会だと思われます。


今大会のマッチ その仕組みと持ち時間(再掲)

 ★ まずクラシカル・チェスを白黒で2局行います。

第1局 クラシカル(40手90分、プラス残りを30分、1手当たり30秒累加、採譜義務)

第2局 クラシカル(上と同様 、ただし手番交代)

 ★ これできまらなければタイブレーク1回目・・・手番は新たにトスで決定し、白黒2局です。

第3局 ラピッド (25分、1手当たり10秒累加、採譜なし)

第4局 ラピッド (上と同様 、ただし手番交代)

 ★ これで決まらなければタイブレーク2回目

第5局 ブリッツ (10分、1手当たり10秒累加)

第6局 ブリッツ (上と同様 、ただし手番交代)

 ★ これで決まらなければタイブレーク3回目

第7局 ブリッツ (5分、1手目から1手当たり3秒累加)

第8局 ブリッツ (上と同様 、ただし手番交代)

 ★ これで決まらなければ最終戦 ・・・手番は新たにトスで決定の1局勝負!

第9局 アルマゲドン(白5分、黒4分、60手目から1手当たり3秒累加、ドロー黒勝ち)

(ただし決勝戦はクラシカルが4局あります)

 このマッチで128人の勝ち抜き戦を7回行い、優勝者を決めます。入賞者は世界選手権予選出場権が取れる大きな大会です。


トロムソ・FIDEワールドカップ (9)

[2013.08.26]

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  [ゲーム解説]   [ライブ(午後10時~)]
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6回戦 準決勝

ベスト4による準決勝

 ペアリングは、ラグラーヴ vs. クラムニック、トマシェフスキー vs. アンドレイキンです。試合は8月26日午後10時から。白黒はその都度トスとなっているようです。解説は前回からナイジェル・ショートが担当しています。

 いよいよベスト4による準決勝です。

 この4人でビッグ・ネームは元世界チャンピオンのクラムニックでしょう。他の実力ある上位陣が次々とくずされる中で、非常にリラックスしていながら圧倒的な力で勝ち上がってきました。

 他の4名は世界的な若手強豪ではあり、アニッシュ・ギリのライバルたちです。が、どちらかというと世界トップ・クラスというにはあと1歩の実績でした。しかし、この大会は絶好調です。ここまできたら上位に入り、高額な賞金はもちろん、世界選手権への切符を得たいと思っていることでしょう。

 なお、マキシム・ヴァシエ・ラグラーヴは現フランス王者で、今年、同女子王者のアルミラ・スクリプチェンコと共に来日しています。相撲を見学したり、将棋の羽生さん、森内さんと同時対局をして、実力 IM クラス (?) の両者に勝っています。また、アニッシュ・ギリの親友でもあります。

ラグラーヴがクラムニックを倒せるか

 このラグラーヴがクラムニックを倒せるかどうか、そしてロシアの若手ナンバー1は誰になるのか、注目の準決勝は8月26日午後10時からです!

<ワールドカップのベスト4>

トマシェフスキー,エヴゲニー (2706 最高 2740、現在世界40位) ロシア国籍 1987年生まれ

アンドレイキン,ドミトリー(2716 現在世界29位) ロシア国籍 1990年生まれ

クラムニック,ウラジミール (2784 最高 2811 現在世界5位) ロシア国籍 1975年生まれ

ヴァシエ・ラグラーヴ,マキシム (2719 最高 2731 現在世界27位) フランス国籍 1990年生まれ

準決勝第1局は早々にドロー

 準決勝の第1局はどちらも短手数のドローでした。次のツイッターがうまい説明だという気がします。

carlsen
twitter

 ワールドカップのどちらのゲームも14手、16手でドロー。プレイヤーにすれば休み時間が必要なんだから理解できるけど、それを許してしまうルールが理解できない。 [カールセン]


twitter
twitter

 (ドローで緊張感がないという声があるけど)みんなまちがってない? 今日のタイブレーク・ベガー(ドローにした白番)は、次が黒番なんだからさ。明日になれば、緊張はむしろ高まっているんだってことが分かると思うよ。(^^) [アニッシュ]

 

準決勝第2局 奇跡的な大逆転ドローのラグラーブだったが・・・

 トマシェフスキー対アンドレイキンの第2局は非常に緊張感あるドローとなりましたが、クラムニック対ラグラーヴは非常に面白い戦いとなりました。

 最初からクラムニックは主導権を握り、ラグラーヴを苦しめます。これはもうクラムニックの必勝と思える局面となりましたが、ラグラーヴの必死のねばりが奇跡的な大逆転ドローを産みました。これで2つのマッチはともにラピッドのタイブレークに入りました。

 心理的にラグラーヴが有利だったでしょうが、3局目は白番でスコッチを選んだラグラーヴに対し、クラムニックが用意した秘密兵器で対応しました。そこから神ワザのキングサイドアタックをみせた黒番クラムニックがわずか22手でラグラーヴを粉砕しました。強い!!

 次の2局目も黒番で勝つ望みが全くないゲームとなり、ラグラーヴはドローに同意し、クラムニックが決勝に進みました。

ラピッドが得意のアンドレイキン

 一方、第1局の黒番をしっかり受けきったアンドレイキンは、第2局で圧倒的な中盤力を見せ、追いすがるトマシェフスキーを振りきって勝ちました。もともとラピッドが得意でそのレーティングが2800を超えていたアンドレイキンは、タイブレークに持ち込んだ時点で成功していたと言えるかもしれません。

 さあ、次はいよいよ決勝。元世界王者クラムニック,ウラジミールに挑戦するのは若手ロシア・チャンピオンのアンドレイキン,ドミートリーです。

 


トロムソ・FIDEワールドカップ (8)

[2013.08.21]

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4回戦

見ていて楽しめる大会

 ここまで16人残ったマスターが次のベスト8を目指してマッチを行っています。

 前のラウンドでは、アニッシュ・ギリだけでなく、世界4位のグリシュックがリー・カン・リムに敗れ去っています。また、勝ち上がっていた大会最年少、中国の14歳、ウェイ・イーが注目されていましたが、マメジャロフに討ち取られました。このラウンドのペアリングで注目のカードはイワンチュック対クラムニックのビッグ・ネームどうし。そして、カムスキー対マメジャロフでしょう。

 ライブの解説がさすがスーザ・ポルガーだけあって分かりやすく、アニッシュ・ギリはもういませんが、見ていて楽しめる大会になっていると思います。

結果として勝ち残ったベスト8は、

 カムスキー(USA) vs. トマシェフスキー

 カルアーナ(イタリア) vs. ラグラーヴ(フランス)

 コロボフ(ウクライナ) vs. クラムニック(ロシア)

 スヴィドラー(ロシア) vs. アンドレイキン(ロシア)

・・・で、これが5回戦のペアリングでもあります。

 ヒカル・ナカムラがコロボフに敗れたこと、マメジャロフがカムスキーに敗れたことが、それぞれ予想外で、このラウンドのニュースとなりました。また、アニッシュに勝ったグランダはカルアーナにあっさり破れています。さらに、世界チャンピオン候補のひとりカリャーキンがノックアウトされ、ロシアの若手アンドレイキンが勝ち上がっています。

5回戦

ロシア人3人が準決勝に残る

 クラシカルの第1局でクラムニックが伸びやかなプレーでコロボフを白番で破り、黒番もドローにしてそのまま押し切りました。第1局がドローの後、トマシェフスキーはカムスキーに対してルイロペス・マーシャル・ギャンビットをぶつけました。これに動揺したのかカムスキーのキングはセンターに誘い出され、危険な状況になり、カムスキーがミスをするきっかけになりました。

 ロシアのクラムニック、そしてトマシェフスキーが6回戦の準決勝に進出です。

 タイブレークに入ったカルアーナ対ラグラーヴの若手対決な2局とも両者攻め合うすばらしいゲームでしたが、カルアーナの白番を防ぎきった後、ダッチ・ディフェンスを打ち破ったラグラーヴが勝ちました。また、いつも上位に進出していたスヴィドラーも、アンドレイキンという同国ロシアの若手に破れました。どちらもレーティング上位者が敗れる結果ですが、ここまできたらレーティングは関係ないのかもしれません。

 勝ったのはフランスのラグラーヴと、ロシアのアンドレイキンでした。ロシア人が3人準決勝に残っています。

 


トロムソ・FIDEワールドカップ (7)

[2013.08.20]

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3回戦タイブレーク 第3局、第4局

tie-break

タイブレークのラピッド・チェス © Chessbase

残念ながらアニッシュがアウト!

 初のタイブレークに突入。実力から言えば勝てる相手なのでしたが、2局目白番でドローで十分のところを完敗した状況は、とても大きなデメリットでした。これを跳ね返せるかが見どころでしたが・・・、残念ながらアニッシュがアウトとなってしまいました!

セブンス・ルークの威かくに惑わされて

 アニッシュは2番目に早く会場に現れ、庭を散歩し、気分をリフレッシュしようとしていたそうです。

 ここまでくれば実力というより、実はメンタル面、すなわち気持ちが一番大切。それはどのスポーツでも言えることですが、チェスでも同じです。彼なりに何とかしようとしていたのだと思います。だって、こんなに苦戦するなんて・・・。本当に残念ですが、このマッチに関しては、1局もアニッシュの良いところがありませんでした。

 グランダは若くありませんが、現在でも南米ではカリスマと言っていいグランド・マスターです。マッチの前にアニッシュのセコンドが「最も危険な相手」と言っていたのですが、今は分かる気がします。

 以下、チェスベースの記事を引用します。

 『この日の番狂わせのひとつはグランダ・ズーニガがアニッシュ・ギリにプレッシャーを与え続けて勝ち切ったことであろう。必死に耐えていたアニッシュだったが、52手目、セブンス・ルークの威かくに惑わされて自分のルークを合わせたこと(下図)、それが命取りになった。白はポーンを1つかすめ取り、持ち時間は切迫していたが、勝ち切るのに時間は必要なかった。』

(このゲームは公式サイトの ライブ 、あるいはこのサイトの ゲーム解説 で見ることができます。)

pos05

白 52.Rc7 まで。次の手が痛恨のミス 52...Re7 ?? 。正着は 52... exf4 !

これからもアニッシュへの応援を

 結果的に3回戦のタイブレークで敗退、ベスト16に残れませんでしたが、それでも、全然だめということはなかったと思います。1,2回戦はむしろ非常にうまいチェスができていたのですから。そして、レーティングも世界ランクも上がったはずです。ですから、確実に次のステップにつながる大会参加になったのではないでしょうか。

 これでFIDEワールドカップでのアニッシュの応援を終了します。ここからは大会の概要を決勝まで簡単にお伝えするということになります。今回でおもしろかったのは、日本人ファンからのツイッター、メールなどでアニッシュへ応援が、ごく少数ですが、見られたことです。ありがとうございました!

 これからもアニッシュへの応援をお願いします。

twitter
twitter

 ワールドカップで、グランダにノックアウトされちゃった~。けっこう相手をふらつかせたし、ラッキーもあったけど、再三チャンスを逃したんだから、トータルで考えれば当然の結果だったかもね! ・・・さあ、次行こうよ、次! [アニッシュ]

 


トロムソ・FIDEワールドカップ (6)

[2013.08.19]

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3回戦 第1局

アニッシュの快進撃

 アニッシュの3回戦は、ペーター・レコを破ったペルーの古豪ジュリオ・グランダ・ズーニガです。

 おそらく対アニッシュ用にぶつけてきたレチ・オープニングで、10手目にg4!?と積極的にしかけてくるグランダ。一時は非常に危なかったのですが、アニッシュは相手の大きなミスに助けられ、黒番でグランダに勝ちました。このマッチは2局だけなので、次は白番でドロー以上でよいことを考えると、かなり有利になりました。アニッシュの快進撃は続きます!

giri wins

アニッシュ・ギリ vs. ジュリオ・グランダ・ズーニガ © Chessbase

 一方、波乱があったのはシード1位のアロニアンが白番でトマシェフスキーに負けたこと、そして世界トップ10に入っているグリシュックがベトナムのリー・カン・リムに負けたことでしょう。ここまで来ると誰が負けても番狂わせではないかもしれませんが、このような形式のトーナメントでは何が起こるかわからないという怖さを教えてくれるような結果ではありました。

3回戦 第2局

アニッシュの完敗

 アニッシュが白番でドローを取るだけでよいという、確率から言えば非常に楽なゲームでした。しかし、それがその通りいかないのが勝負の怖さです。このゲームはグランダが非常にいいゲームで粘り、じわじわと優勢を拡大しました。この2回戦第2局は、グランダがアニッシュのダブル・ビショップを完封し、最後はきれいなナイト・サクリファイスを決めて勝ち切りました。とても残念ですが、アニッシュの完敗でした。ここはむしろ死地から復帰した相手をほめるべきでしょう。

この棋譜は

 アニッシュが投了したのが開始から約4時間後。そのときにまだ対局していたのがグリシュック対リー戦でした。同じようにグリシュックもリー相手に白番で勝たなければいけない状況でしたが、こちらも必死でわずかな優位を拡大し、星を五分にもどしたのは見事でした。対してトップ・シードのアロニアンは、がんばりましたがここで姿を消すことになりました。トマシェフスキーの大金星でした。

みんな必死で戦っていて

 この大会では1位~3位が世界選手権予選のシードを取ります。みんな必死で戦っていて、いろいろなドラマがあります。チェスは確かに科学、芸術と同じ面がありますが、やはり冷徹な闘争でもあるのだということを目の当たりにするトーナメントになっています。

 アニッシュは今精神的に大変な状況でしょうが、次のラピッド・マッチで勝てばよいだけです。互角になっただけと切り替えて、次の対局に臨めるかどうかだと思います。がんばれ!

(このゲームは公式サイトの ライブ 、あるいはこのサイトの ゲーム解説 で見ることができます。 Chessbase の記事には簡単な解説がついています!)

 

トロムソ・FIDEワールドカップ (5)

[2013.08.17]

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アニッシュにチャレンジ

アニッシュ・ギリが指した次の一手を当ててみよう

 みなさんもワールドカップに出場している気分で、アニッシュ・ギリが実際に指した次の一手を当ててみて下さい。

 どれも実戦的な妙手です。レベルが高いものが多いので、選択肢をつけました。(正解は1つですが、もし選択肢がなければ正解は他にあるかもしれません)

1問 黒番

1回戦1局目

サレー vs. ギリ

 黒の形はひどいが受け切れば勝ち。この手で相手は戦意喪失した。受けの好手とは?

① 30... Qe2

② 30... Kg8

pos01

2問 白番

1回戦2局目

ギリ vs. サレー

 見た目より深い。

① 14. d5

② 14. Qc2

pos01

3問 白番

2回戦1局目

ギリ vs. リー・チャオ

 ねらっていたらしい。

① 26. e3

② 26. b5

pos01

4問 黒番

2回戦2局目

リー・チャオ vs. ギリ

 その手あり? ないでしょ? などと思ってしまう手。

① 11... b4

② 11... c5

pos01

正解

 この下!
ここをクリックして、実際のゲームを鑑賞してみてください!

 

1問 正解

 ② 30... Kg8!

 キング自身が h7 をカバーすれば、もう安全で黒勝勢。怖くなって、つい、クイーンを交換したくなりますが、 30... Qe2 31. Qxe2 Rxe2 32. Rxa7 ではもつれます。

2問 正解

 ① 14. d5!

 単純なポーン・フォークが正解。しかし、相手が、その手はないと思った手でした。実はその後の、 14... Nxd5 15. Nc4! という中間手を見落としていたらしいのです。うーん・・・、チェスは深い!(局面は白やや優勢)

3問 正解

 ② 26. b5!!

 次の、e2-e3 が受けにくく白優勢。単純に26. e3 は、相手の読みにはまります。26... b5! が強烈なカウンター。これを防ぐ意味もあります。

 アニッシュはノータイムでこの手を指しました。前々からねらっていたのでしょう。

4問 正解

 ② 11... c5!!

 b5 ポーンを捨てても代償があるなんて! 以下、 12. axb5 axb5 13. Rxa8 Qxa8 14. Nxb5 O-O! 白の展開が悪く、形勢不明。(心理的には黒有利?)

ここをクリックして、実際のゲームを鑑賞してみてください!

トロムソ・FIDEワールドカップ (4)

[2013.08.16]

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 [ゲーム解説]  [ライブ(午後10時~)]
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2回戦 第1局

早くも正念場

 2回戦で当たったのは中国の強敵、リー・チャオ・B。チェスの超天才アニッシュといえども、ここは早くも正念場と言っていいでしょう。

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局後にスーザンからインタビューを受けるアニッシュ

アニッシュの棋譜:プレイヤー自身の解説へ!

 第1局・・・1ポーン・アップのエンディングに

 第1局、アニッシュ・ギリは白番で中国のりー・チャオ・Bの前に座りました。開始直後からプレッシャーをかけ続け、中盤でうまく相手のミスを誘いました。そのミスを見逃さず、計算通り、ナイト対ビショップながら1ポーン・アップのエンディングに持ち込み、相手の粘りを封じました。このラウンドはドローが多かったのですが、アニッシュが最初の勝者となりました。

日本語も

 そのアニッシュが、ライブ中継のテーブルに呼ばれ、ゲームの解説をした後、司会のスーザン・ポルガーが「何ヶ国語を話せるの?」の質問に、「日本語も」とアニッシュが答え、スーザンが驚く場面がありました。「日本に住んでいたことがあるので・・・」「えーっ!!」

 分かる日本語はそう多くないでしょうが、まあ、確かにそのとおりですよね。アニッシュとすぐ下の妹さんは、子どものころ日本語で話をしていたそうですからね。

ミスのないゲームで見事な勝利!

 ミスのないゲームで見事な勝利でした!

 しかし、まだマッチに勝った訳ではなく、次の対局を黒番でドロー以上にしなければいけません。しかしながら、この勝利によって2回戦突破の可能性が大きくなったことはまちがいありません。ぜひ明日もがんばってほしいものです。(アニッシュのゲームは ここ でも鑑賞できます)

Li Chao

中国の強敵リー・チャオ・B

2回戦 第2局

第2局・・・無理攻めを誘って完勝

 勝たなければいけない白番リー・チャオ・Bは、カタランでじっくりプレッシャーをかける作戦だったと思いますが、 それを予想していたように、アニッシュは逆にポーン・サクリファイスで積極的に攻めに出ます。 我慢できずに、リー・チャオはクイーンを切っての猛攻に出ますが、アニッシュには通じません。

アニッシュが2回戦突破

 結果、ドローでもいいところを黒番で完勝となり、28手で終了させたアニッシュが、2対0で、2回戦を突破しました。(アニッシュのゲームは ここ でも鑑賞できます)

昨日は11手で、今日は10手でミス

 他のプレイヤーで注目すべき結果を挙げてみます。アニッシュが開始前にインタビューで言っていた通り、比較的番狂わせは少ないのですが、それでもいくつかの衝撃的な結果がありました。

 まずは元世界チャンピオン挑戦者、ハンガリーのペーター・レコが南米ペルーの古豪グランダ・ズーニガに敗れたことでしょう。「昨日は11手で、今日は10手でミスをして・・・」がレコの弁でした。

中国勢が強い

 また、今大会で最年少の14歳、中国のウェイ・イーが元世界チャンピオン候補のシロフを破ったのは、確かに衝撃でした。しかも難しいエンディングをいとも簡単に勝ちにつなげています。ニポニシを破っただけでも番狂わせと言われていたのですが、これはもう実力としか言えないでしょう。

 中国にはすでにワン・ハオと、ワン・ユーという世界で戦えるGMを持っていますが、次から次へと新しい才能が出てくるようです。今大会も中国勢が強い。それは自国の中国象棋を持ちながらもチェス(国際象棋)を国家で後押ししたからに他なりません。日本の国はチェスどころか他のスポーツにも金を使いません。それなのに世界でメダルをねらえというのは無理というものです。

天才がうじゃうじゃ

 他にもがんばっている若手プレイヤーがいます。元世界王者ポノマリオフと対戦するロシアの17歳デューボフ、そしてチェコ1位のナバラと対戦する地元ノルウェーの若手ハマー、この2つのマッチはタイブレークに持ち越されました。注目された天才少年たち、フィリピンのウェズリー・ソー、米国のレイ・ロブソンは残念ながらここで敗退。

 チェス界には世界中に「天才少年」がうじゃうじゃいます。160カ国で行われている競技ですから、単純計算で日本将棋の「天才少年」の160倍いるとは言えないでしょうけど、そんなことを考えればアニッシュ・ギリがいかに強いかが分かります。

今大会の持ち時間

第1局 クラシカル(40手90分、プラス残りを30分、1手当たり30秒累加、採譜義務)

第2局 クラシカル(上と同様 、ただし手番交代)

これできまらなければタイブレーク1回目・・・手番は新たにトスで決定

第3局 ラピッド (25分、1手当たり10秒累加、採譜なし)

第4局 ラピッド (上と同様 、ただし手番交代)

これで決まらなければタイブレーク2回目・・・手番は新たにトスで決定

第5局 ブリッツ (10分、1手当たり10秒累加)

第6局 ブリッツ (上と同様 、ただし手番交代)

これで決まらなければタイブレーク3回目・・・手番は新たにトスで決定

第7局 ブリッツ (5分、1手目から1手当たり3秒累加)

第8局 ブリッツ (上と同様 、ただし手番交代)

これで決まらなければ最終タイブレーク ・・・手番は新たにトスで決定

第9局 アルマゲドン(白5分、黒4分、60手目から1手当たり3秒累加、ドロー黒勝ち)


トロムソ・FIDEワールドカップ (3)

[2013.08.14]

1回戦の結果

いくつかの番狂わせ

 アニッシュ・ギリは1回戦を通過していますが、他の結果について簡単に振り返りましょう。(詳しい結果は、 公式サイトの結果表 で)もちろん大方が上位者の勝ちとなりましたが、いつくかの番狂わせがありました。

 アロニアン、クラムニックなどレーティングでトップ10に入るような強豪は難なく相手をしりぞけています。差があるGMどうしでどう勝負が決まるのかが勉強になるでしょう。ちなみにトップ10でこの大会にいないプレイヤーは世界チャンピオンのアナンドと世界1位のカールセン、そしてトパロフだけです。

 モロゼビッチが第1試合を落としたのは驚きでしたが、後で挽回して通過しました。しかし、J・ポルガー、ヴォロキチン(米国の星R・ロブソンに負け)が落ちたのは番狂わせと言えるでしょう。

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ラジャボフ(中央)の相手は遅刻で負け © 公式サイト

女子プレイヤーの強さ

 また、現女子王者のウシェニナが、前回おととしのワールドカップで優勝したスヴィドラーに勝ちそうでしたし、女子でランク1位のホウ・イーファンも強豪のシロフ相手に惜しい試合を落としました。この2ゲームはネット上でも観戦者の関心を集め、見る価値がある面白いマッチであり、女子プレイヤーの強さが再認識されました。

ゼロ・トレランス

 ちょっとした事件だったのは、有名なペルーの天才少年ジョルジュ・コリが3ラウンドで開始時間をまちがえて負けと判定されたことです。

 この大会は1秒でも遅刻すると即負けのシステム、ゼロ・トレランスを採用していました。15分と50分の聞きまちがいで、これは日本人にも多いミスです。あのラジャボフ相手に善戦していただけにかわいそうですが、仕方ありません。審判団の協議でも判定は変わりませんでした。

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すべてのプレイヤーが入場の際に電子機器持ち込みのチェックを受ける © 公式サイト

楽しめるライブ

 2回戦の第1試合は日本時間の9時か10時に開始です。ライブ中継は、定評あるIMのローレンス・トレンスとGMのスーザ・ポルガーが司会で、英語が分かりやすく、非常に面白い、楽しめる ライブ になっていると思います。

 アニッシュ・ギリ(オランダ 2737)の次の相手はリー・チャオ・B(中国 2693)です。すでに強敵が相手ですから少しの油断もできません。応援をお願いします。


トロムソ・FIDEワールドカップ (2)

[2013.08.12]

トロムソ・FIDEワールドカップ

まずは1回戦をクリア

 今現在、世界チェス界で一番の話題は、ノルウェーのトロムソで行われているFIDEワールドカップでしょう。この大会に出場したアニッシュ・ギリ、相手はUAEの若手GMのサレーでしたが、まずは1回戦をクリアです。

 内容では楽勝に見えました。しかし、本人は「何とか勝てた。」という謙虚な感想です。(ゲームは ここ でも鑑賞できます)

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UAE期待の若手GMサレム・サレー

勝って残るか、負けて帰るか

 無理ないかもしれません。この大会には世界中から強豪が集められました。例えば世界ランク2位のアロニアンを始め、マメジャロフ、ナカムラらが参加しています。その128名が7回勝ち抜き戦を行い、1位を決めるという大会です。日本では普通でしょうが、チェス界では珍しい。勝って残るか、負けて帰るか、2つにひとつの厳しいトーナメントです。

 1回戦は白番と黒番の2ゲームの結果で決定します。持ち時間は40手90分、プラス残りを30分、最初から1手当たり30秒を累加するクラシカル・チェス(これでも短い方の持ち時間?)です。これで決まらなければ、持ち時間が25分、10秒累加のラピッド2局、それでもタイならブリッツ5局と、タイブレークはだんだん持ち時間を短縮していき、勝者を決めます。

チェスの醍醐味を生中継で

 選手には厳しい大会ですが、見ている方、特に日本人には楽しめる大会になっていると思いますが、いかがでしょうか。ぜひ公式サイト(Livestream)でライブをご覧ください。そして、チェスの醍醐味を生中継で味わって下さい。

応援をよろしく!

 短期決戦ですから、何が起こるかわかりません。1回戦ではすでに優勝候補の一角ニポニシ(これは現地読み。つづりは、Nepomniachtchi でネポとも呼ばれる)が敗退。そして多くの番狂わせがありました。その中でアニッシュ・ギリが無事1回戦を通過してホッとしたのは当然かもしれません。2回戦もアニッシュへの応援をよろしくお願いします!

 スーザ・ポルガーのインタビューでアニッシュが大会にかける意気込みを開始前に語っていました。そのビデオ(英語)が公式サイトに掲載されています。

video01 インタビュー(英語)

 【以下インタビューの要旨】「この大会は誰が勝つでしょうか」「他の大会以上に結果は予測できません。ただ、意外な人が優勝することはないと思います。僕自身は長くここに居られるようにがんばります」「持ち時間は短くないですか?」「問題ないですね。どんな持ち時間でも強い方が勝つでしょうし、僕はそんなに気にしません。それより勝負運の方が大切でしょうから・・・」


 トロムソ・FIDEワールドカップ (1)

[2013.08.07]

8月10日からトロムソ・FIDEワールドカップ

 アニッシュ・ギリは8月10日からトロムソで行われるFIDEワールドカップに出場します。

 この前に出場した北京グランプリ大会では初めて50%の勝率を得て、調子をもどしました。アニッシュの活躍を期待しましょう