アニッシュの記事 2013年3月~7月

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 写真アルバム

[2013年 07月28日]

写真アルバムの体裁を一新

 北京グランプリの写真も含め、これまでの多くの大会の写真アルパムを多く追加し、しかも簡単に見られるようにしました。

 「写真/ビデオ」ギャラリーをご覧ください。



 グランプリ 2013 北京大会でのアニッシュ

[2013年 07月25日]

 アニッシュは自身3回目となるFIDEグランプリの北京大会(世界選手権予選)に参加し、3勝3敗5ドロー、世界トップクラスのプレーヤーと戦い、堂々の勝率50%を確保し、5位~8位タイとなりました。以下は彼の最新レポートです。

 詳しい情報は 大会公式サイト にて

©Official website

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 「僕は今大会で立てた自分の方針に忠実だった・・・」アニッシュの大会レポート

 時差ボケと中華料理と・・・

 グランプリ・シリーズの新しい開催地である北京での2週間はとても有意義だった。 (グランプリとは、何回かの大会を続けて開催し、選ばれた参加者がその大会のどれかに参加し、順位にしたがってポイントを取っていく。 そして最大のポイントを取った3大会の成績で世界選手権の挑戦者を決めようというシステムだ。)

 はっきり言って、時差ボケが厳しかったり、中華料理が口に合わなかったりで、僕は中国でのプレーが大好きという訳ではない。 それでも今回のプレー環境はとても良かった。何よりそれは、よく効いたエアコンと、 居心地の良いニューセンチュリー・ホテルでの豊富なメニューのおかげだった。

 お察しの通り、気温がかなり高かったせいで、観光に(禁断の美しい町へ)1度だけ出かけたのが精一杯だった。

 とはいえ、いずれにしろ、僕たちはそこにチェスを指しに行ったのだから、まあ、それはどうでもいいことかもしれない。早くチェスの話に戻るとしよう。


 

 つまづいたスタート

 僕はこれまで参加したグランプリ(ロンドン大会とツーク大会)で1勝もあげていない。(幸いそれほど負けも多くないが・・・) それが心の重荷だったことは否定できない。だからこそ、僕が目指すべきゴールははっきりしていた。 それは攻撃的なチェスを指すことであり、勝ちに行くことだった。それが、たとえ普段より大きなリスクを背負うことになったとしてもだ。

 僕のスタートは、ひどくがっかりする出だしとなった。カリャーキンに対しては、 ものすごく深いプレパレーション(序盤対策)をしていたのに・・・。僕のブランダー(大悪手)によって、 ゲームに負けたという以上に、自分自身への自信がぐらついたことが大きな痛手だった。

 それでも、2ラウンドでモロゼビッチに短手数でドローにした後、 3ラウンドで非常に複雑なエンドゲームの最中に、相手のボリス・ゲルファントの持ち時間が切れるという事件があった。 これは、思い切ってダッチ・ディフェンスを採用したからこそ得られた勝利だと思ったし、正直に言うと、 序盤の形勢からすればドローでも十分なゲームだったので余計に幸運だったと言える。

局後の会見ビデオ(英語): A. Giri-A. Morozevich (2ラウンド)

局後の会見ビデオ(英語):B. Gelfand-A. Giri (3ラウンド)


 

 うまくとがめることができた!

 この勝利の後、僕は何とかこの好調を持続させたかったが、相手が岩のように固いペーター・レコでは話は別だ。とにかく、 結果として彼はこの大会で1つのゲームも落とさなかった唯一のプレーヤーになった。

局後の会見ビデオ(英語): A. Giri-P. Leko(4ラウンド)

 がっちり固いドローを取った後、レスト・デイ(休みの日)になり、対策が難しい対カムスキーの準備をするのに十分の時間がとれた。 ナイドルフ(定跡名)で Bb5+ と来たのは想定内で、僕はすぐにイコアライズすることができた。(黒は後手番なので、まずイコアライズ、 すなわち互角化することが第一の目標になる)ガータ・カムスキーは強制ドローにする代わりに非常に危険な手順を選んできた。結果として、 僕は代償なしにポーンを取ることができた。僕は最後までゲームをコントロールすることができて、 その日の最後に決まった嬉しい勝利へとつなげることができた。

局後の会見ビデオ(英語): G. Kamsky-A. Giri(5ラウンド)

 僕の次の相手は、(ご存知だと思うが、1ヶ月前にマッチをしたばかりの)ワシリー・イワンチュックだった。 運の悪いことにその日はこの天才とプレーする日ではなかったようだ。彼はワン・ユーから見事なゲームで初勝利をあげたばかりだったからだ。 確かにワシリーは好調だった。僕はいくつか不正確な手を指し、白番なのに劣勢に立たされた。しかしながら、 彼のタイム・トラブル(持ち時間不足)により、僕はねばることができて、何とかゲームをイコアライズし、ドローにすることができた。

局後の会見ビデオ(英語): A. Giri - V. Ivanchuk(6ラウンド)


 うれしい勝利

 僕は今大会で立てた自分の方針に忠実だった。もう一人の入賞圏外(この時点で-3ポイント)のプレーヤー、想像力あふれる中国のプレーヤー、 ワン・ハオと対戦したときもそうだった。

 あえて危険なオープニングを選び、僕は相手に成立するかどうかのサクリファイスを誘った。そして、相手はその通り攻めてきた。 しかし、いくらもたたないうちに僕は自分の弱いキングをどう守るかに神経を使うような局面になってしまった。このラインを教えてくれたのは僕の友人なのだが、 彼が悪いのではなく、その順をしっかり見極めなかった僕が悪い。

 あまりにも攻撃的だった僕は相手が負ける可能性がないエンドゲームに入る道を選ばなかったが、 その報いを受けることになるのに時間はかからず、結局負けてしまった。

局後の会見ビデオ(英語): W. Hao - A. Giri(7ラウンド)

 グリシュックとのゲームは一時ミスの応酬となり、その後は何事もなくドローになった。

局後の会見ビデオ(英語): A. Giri - A. Grischuk(8ラウンド)

 レスト・デイの前に、何とか勝率50%をキープした。

 ミステリー

 対マメジャロフ戦で黒番の対策をしていたときに、ほとんどすべてのグリュンフェルト(定跡名)の変化を繰り返し見ていた。ただ、ひとつ見ていなかったのが、マメジャロフが指した変化だった。しかし、すでに1年前に、僕は白から Qa4+ とする風変わりな変化をうまく打ち破っていたので、序盤がその変化にはったことには満足していた。



 ところが、相手のシャフリアー・マメジャロフが 僕のビショップを Ng5 とアタックして来たとき、僕は完全に混乱してしまったのだ。 僕の脳裏にはっきり見えていたのは、その手の対応策が、一見まちがいに見えるような Rad8 ! の妙手で、わざとビショップを取らせる手段だった。

 15分間、疑り深く考えていたが、自分の記憶とフーディニ(最強のコンピューター・ソフト)のコンビネーションを信用することに決めた。 それ以降は何がポイントなのかを見つけることに時間を使ったが、どうしても見つけられなかった僕は、ゲームの間中、ずっとショック状態だった。

 このミステリーが解けたのは、僕が自分の部屋にもどってからだった。僕が覚えていた変化は、このポジションでの Ng5 とは微妙にちがっていたのだ。 そのときには黒が普通の手【 おそらく Bxd5 】を指していれば互角以上だからだ。僕が Ng5 Rad8!! のアイディアを見つけたのは、白が事前にちがう手を指したときで、それは e4 ポーンを Bd3 でなく、まちがって Qc4 と守った場合だったのだ。

 そんな訳で、ミステリーの謎は解けたが、-1というがっかりするようなスコア (5割の勝率に1点およばない状態)に後退したことに変わりなく、それが僕をかなり落ち込ませた。

局後の会見ビデオ(英語): S. Mamedyarov - A. Giri(9ラウンド)

 ミラクル

 一体全体、どんなミラクルが起こったのだろうか。

 とにもかくにも、次に意外な負け方をしたのは、何の代償もなくピースが落ちたベセリン・トパロフ、つまり僕の相手の方だった。 まるで勝ちをプレゼントされたような気もしたが、このゲームを取った僕は、自分でも考えられないくらい嬉しかった。 なにしろこれまで伝説のトリオ(クラムニック、アロニアン、トパロフの3人)には、いつだって痛い目に合わされていたのだから。(どういう訳か、世界チャンピオンとその挑戦者であるアナンドやカールセンの方が、むしろ僕に対してはポイントをくれる優しい人たちだ。)

局後の会見ビデオ(英語)A. Giri - V. Topalov(10ラウンド)


 最後のラウンドの相手、手堅いワン・ユーに対する準備をしていたときは、とても幸せな気分だったので、黒番を持つことになってはいたが、勝ちに行く努力をしようと決めていた。

 準備したオープニングは完全な正確さをもって研究していたので、僕のプレパレーションは信じられないくらい深かった。チャンスだと思ったのは、僕がワン・ポーンダウンながら互角のエンドゲームで、ワン・ユーがミスを犯したときだった。(実はそのエンドゲームまで、僕が予想したプレパレーションの範囲だった!)僕はポーンを取り返して優勢なポジションにすることはできた。しかし、ドローになり易い局面であり、その後、ワン・ユーはうまく受け切って、僕の勝利の望みを断ち切った。

局後の会見ビデオ(英語): W. Yue - A. Giri(11ラウンド)

 そしてその次は・・・

 最終的に勝率50%のスコアは、僕がこれまでのグランプリでぐずぐずしてきたことを考えれば、かなり上出来だった。 しかし、一番大きかったのは、僕が攻撃的なチェスを指せたことへの満足感だった。

 次のイベントはトロムソー(ノルウェー)でのワールド・カップだ。それは127人の選ばれたプレーヤーによる勝ち抜きトーナメントであり、 何が起こるのか、誰も予想できない戦いだ。そういう意味では、僕にもチャンスがある。とにかく、 まずは最初の相手のプレパレーションからスタートしなければならない。相手はアラブ首長国連邦の才能あるグランド・マスター、サレムだ。

 そうそう、忘れてならないのは、良い結果にふさわしく(まあ、ふさわしいかどうかなんて、実はどうでもいいのだが・・・) ゆっくり休息をとること。この何日かは、それが最優先でいいのでは、と思う。

 ではまた!

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 このゲームの解説は次号の New in Chess でアニッシュの記事として掲載される。
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 北京から戻りました。勝ったり負けたりだったけど・・・でも面白かった! 次は、少し休んでからトロムソのワールドカップに向けての準備だ! [アニッシュ 7月18日]

 


 アニッシュがイワンチュックにレオンで勝利!

[2013年 07月23日]

©Chesslive.com



 第26回 マヒストラル・シウダード・デ・レオン

第26回を数える伝統ある大会、「マヒストラル・シウダード・デ・レオン」において、アニッシュは、イワンチュックとともに参加しました。

 「ワシリー・イワンチュックが20年以上も世界のトップクラスに居るのは、誰もが認めるところです。これまでも彼とは何回か様々な機会で胸を借りることがありました。結果は勝ったり負けたりで、いいゲームばかりでしたから、対戦するのがとても楽しみです。彼から多くを学ぶことができるはずだからです。」アニッシュ

 アニッシュがイワンチュックにレオンで勝利

 アニッシュは伝統あるレオン(スペイン)の大会でワシリー・イワンチュックに勝利を収めました。アニッシュは変形の「クラシカル」と、ラピッドの2種目で勝ちました。一方、ブリッツではイワンチュックの軍門にくだりましたが、この大会のポイント・システムによりアニッシュが総合の勝者となりました。

 チェスは各自の持ち時間で種目が分かれています。クラシカル・チェスは伝統的な「長くて、普通の」のチェスであり、普通90分以上の持ち時間となります。しかし、この大会では40分で、1手当たり15秒累加としていますので「クラシカル」にしては早指しになるでしょう。ラピッド・チェスこそ「早指し」であり、この大会では20分の持ち時間に1手当たり10秒累加です。ブリッツは持ち時間5分+3秒累加ですから、「超早指し」と言えるでしょう。

 「ブリッツでは苦い思いを味わったけれども、レオンで強豪チュッキーに勝ちました!」アニッシュ

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