アニッシュの記事 2013年01月

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 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (16)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)

[2013年 02月08日]

 大会を振り返って

 まずまずの悪くない結果

 チェスでグランド・スラムと言われる大会のひとつ、タタ・スチール・チェス・トーナメント(通称ヴァイカンゼー)、 その2013年度が終わりました。世界トップ・クラスが参加するAクラス、 そこに地元のチャンピオンとしてアニッシュ・ギリも参加しました。結果は13ラウンドを1勝2敗10ドローの成績、 6ポイントとまずまずの悪くない結果でした。

 確かに優勝にからむような活躍はなかったかもしれませんし、勝率50%も届きませんでした。しかし、 世界最高峰のプレーヤーに対しても通用する実力を見せてくれましたし、強豪カルアーナに対して完勝のゲームを披露しました。 何より、昨年のように後半連敗して最下位に沈んだトラウマからは抜け出せたのではないでしょうか。 ホウ・イーファンに負けたときはどうなることかとヒヤヒヤしましたが、学業でも大変だったことを思えば、 ファンとしてはひと安心と言えるでしょう。

 カールセンが圧倒的優勝

 優勝は世界1位のマグナス・カールセン(ノルウェー)でした。とにかく強すぎます。 他のプレーヤーなら絶対ドローしかないような局面を無理やり勝ちにできるのですから。 世界3位のレヴォン・アロニアン(アルメニア)もからみましたが結果的に大差をつけられました。 カールセンが、レーティングの世界記録を更新する大活躍だったことは、世界チャンピオンではない (その挑戦者決定の方式に意義を唱えて参加していない)にしても、実力が抜群の世界1であることの証明になりました。 今回世界チャンピオンのヴィスワナサン・アナンド(インド)は本来の調子が戻ったプレーを見せ、 アロニアンとのゲームでは名局も披露しましたが、その中でカールセンが圧倒的優勝だったことに意義がありました。


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (15)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


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ライブ(日本時間21:30より):  公式サイト(お薦め)   WhyChess   Chessbomb  

[2013年 01月28日]

 13(最終)ラウンドのペアリングと結果

10ラウンド:1月23

白番 結果 黒番
カリャーキン
1-0
ファンヴェリー
ホウ
1/2-1/2
レコ
ラミ
1/2-1/2
ソコロフ
ワン
1-0
アナンド
ナカムラ
1/2-1/2
ハリクリシュナ
ギリ
1/2-1/2
カールセン
ナカムラ
1/2-1/2
アロニアン

 13ラウンド概要

 アニッシュはカールセンを困らせるすばらしいプレーでドロー! 14人中8位となり、まあまあの成績です。後半くずれて最下位だった昨年のトラウマを払拭しました。応援していただいたファンの方に感謝します。

 大会はカールセンが2933のパフォーマンスで圧倒的な優勝、そしてアロニアンが2位というシード順通りの順当な結果でした。また、世界チャンピオンのアナンド、カリャーキン、レコは、優勝にからめはしませんでしたが、それぞれ満足のいく結果を出していると思います。意外だったのはファビアーノ・カルアーナの不調ではないでしょうか。

 クロステーブル

  名前 得点 Rating TPR 10 11 12 13 14
1 Carlsen, M. 10.0 / 13 2861 2933   ½ ½ 1 ½ 1 1 ½ ½ 1 1 ½ 1 1
2 Aronian, L. 8.5 / 13 2802 2837 ½   0 ½ 1 1 ½ ½ 1 ½ 1 ½ ½ 1
3 Anand, V. 8.0 / 13 2772 2816 ½ 1   ½ ½ ½ ½ ½ 0 1 ½ 1 1 ½
4 Karjakin, S. 8.0 / 13 2780 2816 0 ½ ½   ½ ½ ½ ½ 1 1 1 ½ ½ 1
5 Leko, P. 7.5 / 13 2735 2789 ½ 0 ½ ½   ½ ½ ½ ½ 1 ½ 1 ½ 1
6 Nakamura, H. 7.0 / 13 2769 2758 0 0 ½ ½ ½   ½ ½ 1 ½ 1 1 ½ ½
7 Harikrishna, P. 6.5 / 13 2698 2735 0 ½ ½ ½ ½ ½   1 ½ 1 0 ½ ½ ½
8 Giri, A. 6.0 / 13 2726 2704 ½ ½ ½ ½ ½ ½ 0   ½ ½ 0 1 ½ ½
9 Wang, H. 6.0 / 13 2752 2702 ½ 0 1 0 ½ 0 ½ ½   0 1 ½ 1 ½
10 van Wely, L. 6.0 / 13 2679 2707 0 ½ 0 0 0 ½ 0 ½ 1   ½ 1 1 1
11 Hou, Y. 5.5 / 13 2603 2685 0 0 ½ 0 ½ 0 1 1 0 ½   ½ ½ 1
12 Caruana, F. 5.0 / 13 2781 2642 ½ ½ 0 ½ 0 0 ½ 0 ½ 0 ½   1 1
13 L'Ami, E. 4.0 / 13 2627 2599 0 ½ 0 ½ ½ ½ ½ ½ 0 0 ½ 0   ½
14 Sokolov, I. 3.0 / 13 2667 2526 0 0 ½ 0 0 ½ ½ ½ ½ 0 0 0 ½  

 

 


2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (14)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月27日]

 12ラウンドのペアリングと結果

10ラウンド:1月23

白番 結果 黒番
ファンヴェリー
1-0
カルアーナ
アロニアン
1/2-1/2
ギリ
カールセン
1-0
ナカムラ
ハリクリシュナ
1/2-1/2
ワン
アナンド
1-0
ラミ
ソコロフ
0-1
ホウ
レコ
1/2-1/2
カリャーキン

 12ラウンド概要

 優勝候補アロニアンに対し、攻め合ってのドロー

 世界トップ3、そして前回大会の優勝はアルメニアのヒーローであるレヴォン・アロニアンでした。アロニアンは首位を走るカールセンまで1ポイント差。あと2試合しかないので追いつくにはこのラウンドの白番で全力で勝ちに行くしかありません。そして、その相手はアニッシュでした。

 カールセンはチェス界の頂点であり、他の追随を許さない存在

 前のラウンドでジュニアの先輩だったカルアーナに完勝したアニッシュはこのラウンドでも力の入った戦いを見せてくれました。アロニアンのヘッジホッグに対し、アニッシュはドラゴンで対抗、アニッシュが危ない場面はなく、アロニアンが望んだ奇跡はありませんでした。しかもカールセンが強敵の全米チャンピオン、ナカムラを撃破し、優勝を確定させてしまったのです。ナカムラは、中盤の強引な力量で定評があるスーパーGMです。そのナカムラをねじ伏せるのですから、現在、カールセンが世界チェス界の頂点であり、他の追随を許さない存在であることを改めて証明してみせました。一体人間はチェスでどこまで強くなるのか、カールセンには、そこに挑戦する権利があると思います。

ホウ・イーファンはポルガーの継承者?

 他のボードでの注目は、中国の女子、ホウがオランダの強豪ソコロフに黒番で完勝したことでしょう。ソコロフの無理攻めを受け流し、カウンター・パンチを浴びせ、最後は正確なエンディングで決めました。ホウは最下位シードで他のプレーヤーの標的になることを心配していましたが、杞憂でした。それどころか、3勝もする活躍で、世界のトップクラスで戦えることを示しました。女子ではチェス史上最強のユデット・ポルガーが世界1でした。思えば男子と対等に戦う女子は彼女が最初でした。まだまだ差はありますが、どうやらホウ・イーファンはその継承者としてやっていけそうなプレーヤーに成長しているようです。

 さあ、そして長かった大会もいよいよ最後です。アニッシュ対カールセンは、アニッシュにとって最終ラウンドにふさわしいペアリングでしょう。少なくともドローを、できれば勝利を期待しましょう!

victory

11ラウンドの勝利インタビュー © Official site interview



 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (13)

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  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月26日]

ばんざ~い アニッシュ1勝!!

 アニッシュの勝利インタビュー

 アニッシュの完勝譜を解説したライブ・ビデオ


 やっと勝利でしね? ーー1年かかりました。 定跡はカルアーナと同じコーチであるチュチェロフとのプレパレーションでしたか? ーーいやいや、でも自分が指したい局面になりました。 最後は妙手を見逃しましたね。ーーそうですね、名局を逃しましたが、勝てたことで十分うれしいです。・・・このようなやり取りが聞けるビデオです。 早口ですが、わかりやすい棋譜解説を直接聞けるという意味でも、アニッシュ・ファン以外にも必見のビデオでしょう。

 11ラウンドのペアリングと結果

10ラウンド:1月23

白番 結果 黒番
レコ
1-0
ファンヴェリー
カリャーキン
1-0
ソコロフ
ホウ
1/2-1/2
アナンド
ラミ
1/2-1/2
ハリクリシュナ
ワン
1/2-1/2
カールセン
ナカムラ
0-1
アロニアン
ギリ
1-0
カルアーナ

 11ラウンド概要

 世界ランカーが手も足も出せないでアニッシュに完敗

 アニッシュ・ギリが帰ってきました。スラブでチャンスを作ってきたカルアーナに対し、新しいフィアンケット戦法で応じたアニッシュ・ギリは、どんどんポーンを捨ててカルアーナを攻め続けました。以前のアニッシュのように常に相手に難問を突きつけるプレーを連発し続け、短手数でノックアウト!! 5位の世界ランカーが、手も足も出せないでアニッシュに完敗のゲームでした。

 ファビアーノ・カルアーナ(イタリア20歳)は、アメリカ育ち。実は日本のトップ・プレーヤーのひとり、上杉晋作さんが小学生で全米の大会で大活躍していたときと同時期に、すでに年少のエリートとしてプレーしていたそうです。(上杉晋作さんと並んで撮影した写真があります!)ついこの間までジュニア(19歳以下)ではアニッシュをおさえて世界1位でした。(現在はアニッシュがジュニア世界1)

 その相手に対し、これだけのプレーができて、しかも今までずっと遠かった1勝が手に入ったのですから、大きな大きな勝利でした。ファンとして溜飲が下がる、すっきりとするラウンドになりました。

 アニッシュらしいチェスを

 全13ラウンド、長丁場の大会もあと2試合しかありませんが、これからの相手2人は世界3位のアロニアンと世界1位のカールセン、ともに本当に世界の頂点に立つ相手であり、今大会でも2位、1位です。相手に不足はありません。このクライマックスにおいてどれだけのプレーができるのか、結果はともかくアニッシュらしいチェスをファンに見せて欲しいと思っています。がんばれ、アニッシュ!

 他のボードの注目点は、アロニアンが黒番で新鋭ナカムラを破ったことでしょう。これで、単独2位となり、ひょっとして奇跡の逆転という下地ができました。最近ぱっとしない成績だった元世界選手権挑戦者のレコも3勝目をあげて、上位に入って来ました。

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (12)

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  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


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ライブ(日本時間21:30より):  公式サイト(お薦め)   WhyChess   Chessbomb  

[2013年 01月24日]

 10ラウンドのペアリングと結果

10ラウンド:1月23

白番 結果 黒番
ファンヴェリー
1/2-1/2
ギリ
カルアーナ
0-1
ナカムラ
アロニアン
1-0
ワン
カールセン
1-0
ラミ
ハリクリシュナ
0-1
ホウ
アナンド
1/2-1/2
カリャーキン
ソコロフ
0-1
レコ

 10ラウンド概要

 2900にも迫る神がかった領域に

 カールセンが優勝をほぼ手中にする勝利を手にしました。チェスでは0.5点差が1段階の差なので、2位のアナンドらと1.5点の差があるのは決定的です。ここで勝って2位に追いついたアロニアンも、ナカムラも確かに相当な強いプレーヤーと言っていいですが、これを逆転するのは奇跡しかないでしょう。

 それにしても、レーティング世界1だから当たり前なのでしょうが、カールセンはあまりにも強過ぎます。史上最強と自他共に認めたフィッシャーや、カスパロフのレーティング記録を軽く抜き、前人未踏の2900にも迫る神がかった領域に行こうとしているのです。一体どこまで行けるものなのでしょうか。

 1勝が遠いという歯がゆい状況

 アニッシュ・ギリはファンヴェリーに対し、今回も黒番ながら押し気味の展開にしたので満足すべきなのでしょうが、このラウンドも1勝が遠いという歯がゆい状況を変えるまでには至りませんでした。

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (11)

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  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月23日]

 9ラウンドのペアリングと結果

9ラウンド:1月22

白番 結果 黒番
ソコロフ
0-1
ファンヴェリー
レコ
1/2-1/2
アナンド
カリャーキン
1/2-1/2
ハリクリシュナ
ホウ
0-1
カールセン
ラミ
1/2-1/2
アロニアン
ワン
1/2-1/2
カルアーナ
ナカムラ
1/2-1/2
ギリ

 9ラウンド概要

 アニッシュ・ギリがナカムラ相手に黒番ながら終始主導権を握るゲームを運びをみせました。優勢だっただけに結果はドローだったのは少し残念でしたが、アニッシュらしいプレーでトップ・プレーヤーに冷や汗をかかせたように思います。また、カールセンが黒番ながらホウに勝ち、トップを確実にしています。このままカールセンが突っ走るのでしょうか、それともアナンドが巻き返すのか・・・。

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (10)

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  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月21日]

 8ラウンドのペアリングと結果

8ラウンド:1月20

白番 結果 黒番
ファンヴェリー
1/2-1/2
ナカムラ
ギリ
1/2-1/2
ワン
カルアーナ
1-0
ラミ
アロニアン
1-0
ホウ
カールセン
1-0
カリャーキン
ハリクリシュナ
1/2-1/2
レコ
アナンド
1/2-1/2
ソコロフ

 8ラウンド概要

 カールセンが強過ぎ

 カールセン vs. カリャーキン (白 67. g4! まで)
board

 このラウンドはまず何と言ってもカールセンが優勝を争うカリャーキンを倒したゲームでしょう。色違いビショップがあり、駒の損得もない場面からガマンを重ね、ねらいすましたような、67.g4! そして、68.h5 のワンツー・パンチを繰り出し、強力なライバル、カリャーキンをマットに沈めました。カールセンが強過ぎて怖いくらいです。確かにまだ多く試合は残っていますが、優勝に大きく近づく勝利だったのはまちがいないでしょう。

アロニアンとカルアーナもこのラウンドを勝ち、格のちがいを見せました。アニッシュ・ギリは、苦手のワン・ハオに対して安定したドローを取り、早々に会場を後にしました。明日は強敵のナカムラです!

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (9)

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  2013年1月11日~27日
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ライブ(日本時間21:30より):  公式サイト(お薦め)   WhyChess   Chessbomb  

[2013年 01月20日]

 7ラウンドのペアリングと結果

7ラウンド:1月19

白番 結果 黒番
アナンド
1-0
ファンヴェリー
ソコロフ
1/2-1/2
ハリクリシュナ
レコ
1/2-1/2
カールセン
カリャーキン
1/2-1/2
アロニアン
ホウ
1/2-1/2
カルアーナ
ラミ
1/2-1/2
ギリ
ワン
0-1
ナカムラ

 7ラウンド概要

 アナンドがトップのカールセンに並ぶ

 アナンドがファンヴェリーからすばらしいゲームで勝ちをもぎ取り、またトップのカールセンに並びました。 カールセンは、レコとのゲームを黒番で持ち時間を2時間以上余してのドローでした。彼は一体どうしたのでしょか。 それに対して「指し手の選択が限られていたので・・・」という弁解がインタビューの中にあり、実際にそうだったのでしょうが、 アマチュアには理解できない応接がカールセンらしいものでした。

 一方、カリャーキンはアロニアンに対して必敗の局面となりましたが、 「それ指されたらリザインしようと思った手をアロニアンが指さなかったので・・・」という訳で、幸運なドローでした。 また、ナカムラはワンに勝って、カリャーキンとともに0.5差でトップを追う位置につけました。

 踏ん張ってドローのアニッシュ

 アニッシュは、このラウンドもラミに対してピンチの苦しい局面となりました。しかし、今回は踏ん張り、 何とかドローに収めることができました。これに負けていたらと思うとぞっとしますが、少しほっとする結果です。昨日の負けから精神的に立ち直っているといいのですが・・・。まだまだ大会は半分過ぎた所です。これから カールセン、アロニアンらとのゲームも待っています。目標はいろいろあるでしょうが、とにかく1勝が遠いように思います。みなさんの応援をお願いします。

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (8)

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  2013年1月11日~27日
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[2013年 01月19日]

 6ラウンドのペアリングと結果

6ラウンド:1月18

白番 結果 黒番
ファンヴェリー
1-0
ワン
ナカムラ
1/2-1/2
ラミ
ギリ
0-1
ホウ
カルアーナ
1/2-1/2
カリャーキン
アロニアン
1-0
レコ
カールセン
1-0
ソコロフ
ハリクリシュナ
0-1
アナンド

6ラウンドの概要

 カールセンが初めて単独リード

 レーティング世界1というのはどのくらい強いのかという疑問に答えるのが、このラウンドの結果でしょう。 カールセンは、白番ながら強烈なパンチ力のあるソコロフに対し、序盤は押し込まれてしまいます。 苦笑いのカールセンでしたが、その後ソコロフが攻め間違えると次々と好手、妙手を繰り出して行きます。 気がつけばカールセンのキングは安全地帯に、ソコロフのキングは集中砲火の中でした。(図) カールセンとしては典型的な普通のこの勝利によってプラス3、初めて単独リードとなりました。

 ただ、同じトップ・グループだったアナンド、カリャーキンは黒番でしたからドローはそう悪くない結果だったでしょう。

 一方、アナンドにきっちりやられた第2シードのアロニアンが、エンドゲームの名人レコから、 エンドゲームで1点を奪い取り、プラス1(五分の成績より1勝分多い)としてトップに近づきました。

 アニッシュがホウと熱戦の末敗れる最悪のシナリオ

againsthou

アニッシュ・ギリ(左) vs. ホウ・イーファン

 アニッシュ・ギリは白番で最下位のホウ・イーファンと対戦でした。…となれば、今まで勝ちの無かったアニッシュは、 当然勝ちに行くしかありません。しかし、それはホウ・イーファンも同じ状況でした。

  前のラウンドでは黒番のナカムラにシシリアン・ドラゴンを使われてやられていたホウ・イーファンは、 同じ定跡をアニッシュにぶつけてきました。アニッシュはスミスロフ・システムで対抗し、お互いに真正面から撃ちあう激しい戦いとなりました。 その結果、ホウ・イーファンにとって優勢なエンドゲームとなったゲームを、延々85手まで粘ったアニッシュでしたが、最後はホウ・イーファンが初勝利をあげました。 これでアニッシュはマイナス2。

 アニッシュ・ファンとしては最悪のシナリオですが、まあ、でもなぜそうなったのか考えても仕方ありません。 勝負に行ったのですから負けもまたあり得た結果だと割り切ることにしましょう。 もう優勝にからむのは難しい状況となりましたが、スイス式とちがってこれからも世界有数の強豪と当たり続けます。 そこで1つでも2つでも良いゲームを見せて欲しいと思います。立ち直れアニッシュ、ファンは共に戦っています!

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (7)

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  2013年1月11日~27日
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[2013年 01月18日]

 5ラウンドのペアリングと結果

5ラウンド:1月17日
白番 結果 黒番
ハリクリシュナ
1-0
ファンヴェリー
アナンド
1/2-1/2
カールセン
ソコロフ
0-1
アロニアン
レコ
1-0
カルアーナ
カリャーキン
1/2-1/2
ギリ
ホウ
0-1
ナカムラ
ラミ
0-1
ワン

 

anish

 5ラウンドの概要

 アナンド対カールセンの好カードはドローでトップ変わらず

tata

トップのカリャーキンが正確に受け切る

 注目の好カード、トップどうし、アナンド対カールセンは事件なくドローになりました。カールセンは試合前に元気がなく、ドクターも呼ぶ状態だったらしいですが、何とか対応できたようです。

 同じくトップ・グループのカリャーキンに挑戦したアニッシュ・ギリは黒番ながら主導権を握り、カリャーキンのキングに果敢に攻めかかりましたが、カリャーキンが正確に受け切ってドローでした。むしろ後半は持ち時間不足でアニッシュの方がピンチでしたが、何とか事なきを得たようです。これでトップは変わらず、カールセン、アナンド、カリャーキンの3人です。

 しかし、このラウンドでドローだったのはそれだけで、他はすべて勝敗が決まり、まちがいなく見応えのあるランドだったと思います。レコ、ナカムラ、そしてアロニアンがその実力通り順当な初勝利をあげ、トップ・グループとの差を1つ(1/2点)縮めました。

 


2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (6)

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[2013年 01月16日]

 4ラウンドのペアリングと結果

4ラウンド:1月15日
白番 結果 黒番
ファンヴェリー
1-0
ラミ
ワン
1-0
ホウ
ナカムラ
1/2-1/2
カリャーキン
ギリ
1/2-1/2
レコ
カルアーナ
1-0
ソコロフ
アロニアン
0-1
アナンド
カールセン
1-0
ハリクリシュナ

 

4ラウンドの概要

tata

Bc5 を見て長考するアロニアン

 

 アロニアン vs. アナンド (白 15.Bd6-c5!! まで)
board

 4ラウンドの概要

 後世に残るような名局 

 4ラウンドは2局以外で勝負が決まるドラマチックな展開となりました。 しかし、それらが全吹っ飛ぶくらいの衝撃的な事件がありました。それはアナンドが後世に残るような名局を作り、 黒番で世界トップ3に入るアロニアンを破ったことです!

 事件は、白にキングを攻められている真っ最中、とんでもない方向で駒のタダ捨て、15.Bc5!! の妙手からはじまりました。アナンドは(プレパレーションを確認していたらしいですが)長考の末にこの手を指しました。これを見て今度はアロニアンが長考に入りました。(上の写真)しかし、アロニアンいわく「ものすごい強力な一手」に対抗する手段が見つからず、アナンドはその後もミステリアスで強烈な攻守の連続で、受けの名手アロニアンがなすすべもなく勝敗が決しました。チェスで白番はテニスのサーバー側くらい優位性があります。黒番で勝ったアナンドは大きな1点を連勝で手に入れ、トップに並びました。この大会のアナンドは今までとちがいます!

 ルビンスタインの古典的名局をチェック!

 なお、インタビューの中で、アナンドが 「古典的名局、ロトレヴィー対ルビンシュタインと同じアイディアだよ」と言及したゲームがあります。 ルビンスタインは、世界チャンピオンにこそなれませんでしたが、そのプレー・ スタイルは攻撃的かつ芸術的、実力もチャンピオン級であり、チェスの歴史にその名を刻んだプレーヤーでしょう。チェス・ファンとしてその古典的ゲームは、ぜひともチェックしておきましょう!( その棋譜をビューワーで鑑賞できます! more

 カールセンもトップの仲間入り

 一方、世界レーティング1番のカールセンもやってくれました。ハリクリシュナに対し、ゆっくりと、しかし、着実にプレッシャーをかけ続け、相手を圧倒したのはさすがです。これでカールセンもトップの仲間入り、優勝候補の期待に応える勝利でした。また、カルアーナは昨日の負けから1勝を取り返して、実力の一端を見せました。オランダ人どうしの対決はファンヴェリーが勝ち、中国人どうし、しかも同じ北京大学の学生どうしはワンの勝ち、どちらも順当な感じです。

 命拾いでトップを守る

 危なかったのはカリャーキンで、ナカムラがまちがえなければ必敗という試合でしたが、何とか命拾いをしてトップを守りました。事件がなく普通にドローになったのはアニッシュ対レコ戦だけでした。これはアニッシュの攻めが悪いというよりは、レコの固いプレーがうまいというべきでしょう。アニッシュには、このゲームと次の日のレスト・デイ(途中の休日)でエネルギーを充填してもらい、5ラウンドからもがんばって欲しいところ。とにかく1勝が見たいものです。 

 5ラウンドの公式ビデオ・レポート

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (5)

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  2013年1月11日~27日
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[2013年 01月15日]

 3ラウンドのペアリングと結果

3ラウンド:1月14日
白番 結果 黒番
カールセン
1-0
ファンヴェリー
ハリクリシュナ
1/2-1/2
アロニアン
アナンド
1-0
カルアーナ
ソコロフ
1/2-1/2
ギリ
レコ
1/2-1/2
ナカムラ
カリャーキン
1-0
ワン
ホウ
1/2-1/2
ラミ

 

3ラウンド概要

 

tata

開架式にて © Sir Francis

 勝つチャンスは作れず 

 アニッシュは、昨日必勝の試合をだめにしたソコロフに対し、得意のグリュンフェルトで臨みました。比較的楽にドローにできたのですが、勝つチャンスは作れませんでした。

 ナカムラ vs. ソコロフ (白 27.g2-g4!! まで)
board

 カリャーキンが単独トップ、カールセンは楽勝

 初戦で1勝したカリャーキンがこのラウンドも2勝目をあげ、プラス2の単独トップに出ました。中盤の絶妙手 27. g2-g4!! を受けてよろめいたワン・ハオを倒したのです。さらに優勝候補のカールセンは持ち時間を多く余してファンヴェリーに楽勝、そして結果を出そうと本気の世界チャンピオンのアナンドも、直前にアニッシュに使われたアンチ・マーシャルを使って伸び盛りの若手カルアーナをねじり伏せました。他の4局はアニッシュ戦も含めてドローとなっています。

 3ラウンドの公式ビデオ・レポート

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (4)

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  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月14日]

 2ラウンドのペアリングと結果

 早くもギリ対世界王者アナンド、カールセン対アロニアンの対決

2ラウンド:1月13日
白番 結果 黒番
ファンヴェリー 1/2-1/2 ホウ
ラミ 1/2-1/2 カリャーキン
ワン 1/2-1/2 レコ
ナカムラ 1/2-1/2 ソコロフ
ギリ 1/2-1/2 アナンド
カルアーナ 1/2-1/2 ハリクリシュナ
アロニアン 1/2-1/2 カールセン

 

2ラウンド概要

 世界チャンピオンのキングサイドに攻撃

tata

ギリ(左)とアナンド(右)

 アニッシュがアナンドに対しての初手は、意外にも 1.e4 でした。アンチ・マーシャルを選び、世界チャンピオンのキングサイドに攻撃を仕掛けることに成功。最後は互角のエンドゲームを、今回は安全に、ドローにすることができました。ドローにはなりましたが、主導権は終始アニッシュがにぎる、いい内容だったと思います。ファンとしては少しほっとすることができました。

 10歳だった頃と同じプレー・スタイルで!!

 直後のインタビューで、「今日は10歳だった頃と同じプレー・スタイルでやってみたんだけど、全然だめなことはなかったし・・・、それが嬉しかった。」と話す明るい顔のアニッシュを見て驚きました。

 え? 10歳だった頃? そのとき彼がいたのは、・・・札幌チェスクラブですよ!!

 ギリ vs. アナンド (白 22.Ng3-f5 まで)
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 アニッシュ、1ラウンインタビュー・ビデオ

 すべてドロー

 結局すべてがドローで終わりました。しかし、ゲーム内容は決して退屈なものではありませんでした。

 2ラウンドで早くも実現したアロニアンとカールセンの世界3位と1位対決もドローに終わりましたが、 これはカールセンが最後まで苦しみました。変則のキングズ・インディアンをうまく返され、アロニアンにキングサイドを攻撃されたときは、もうだめかと思われましたが、それをコンピューターのように受け切るのは驚きでした。安易に土俵をわらないからこそ世界1なのでしょうけれども・・・。

 ドローは奇跡

 アロニアンが「当然勝っと思っていた。ドローは奇跡だ。」に対し、カールセンは「やられていたのは確かだから、ドローで本当に良かった」とインタビューで答えていました。ドローでも、期待どおりのファイトだったと思います。

 奇跡というなら、ナカムラ対ソコロフは、序盤で失敗したナカムラが奇跡の逆転ドローを見せました。序盤に不思議な手を連発したナカムラをうまくとらえたソコロフが大差をつけ、すぐに終了でも当然のゲームでした。しかし、粘ってみるものです。そこから決め手を与えないナカムラが恐ろしいくらいの粘りを見せ、このラウンドで一番長い泥仕合に持ち込み、ドローに逃げました。印象的だったのはナカムラの実戦的な強靭さと、ソコロフの「今夜自殺しなかったら、おれはきっと千年は長生きするんだろうよっ!」というコメントの悲しさでした。

 ナカムラ vs. ソコロフ (白 20.Qf6-f3 まで)
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 最下位でないことがチャレンジ

 昨日アニッシュとともに負けたのが女子で参加しているホウ・イーファンでした。このラウンドは彼女らしいチェスで、白の猛攻を受けきり、逆に反撃するというゲームを展開でした。試合後「コンピューターは7点勝っていたと出した場面もありましたが・・・」という聞かれ、「えー? 分かんなかったけど・・・、どこで?」と照れ笑いで応じた彼女を見ると、連敗しなくて良かったという安堵感が伝わって来ました。女子の世界でトップクラスでも、シード順位からすると、最下位でないことがチャレンジなのですから!

 (チェスは見ていてアマチュアにもわかりやすいゲームです。駒の点数を数えれば約8割は形勢の判断ができるからです。ポーンが1点の価値として、アマチュアなら7点リードでも勝敗は分からないでしょうが、プロなら2点差でも普通は致命的です。また、ホウ・イーファンは前女子世界チャンピオンであり、実力的にはポルガーとともに世界1を争うと思います。)

 1ラウンドの公式ビデオ・レポート

 2ラウンドの公式ビデオ・レポート

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (3)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月13日]

 1ラウンドのペアリングと結果

1ラウンド:1月12日
白番 結果 黒番
アロニアン 1/2-1/2 ファンヴェリー
カールセン 1/2-1/2 カルアーナ
ハリクリシュナ 1-0 ギリ
アナンド 1/2-1/2 ナカムラ
ソコロフ 1/2-1/2 ワン
レコ 1/2-1/2 ラミ
カリャーキン 1-0 ホウ

 

 1ラウンドの概要

 アニッシュ初戦を飾れず

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ハリクリシュナ

 チェスの黒番はまず互角にできれば成功と考えて序盤を戦いますが、序盤、アニッシュは簡単に互角にしました。 ハリクリシュナに対し、アニッシュの選んだのはフレンチのルビンシュタイン・ヴァリエーションという固い戦法でした。そこまでは全く作戦どおりだったと思うのですが、互角のルーク・エンディングが、簡単そうに見えて実は難しい形になってしまい、 ごくわずかな差をハリクリシュナ(インド)に徐々に広げられ、59手で初戦を飾れませんでした。

 大変残念な結果でしたが、仕方ありません。まだ1ラウンドですから、気持ちを切り替えるのはそう難しくないと思います。次は世界チャンピオンのアナンドが相手です。こうなったら、むしろ開き直って自分のチェスを指して欲しいところです。

 ハリクリシュナ vs. ギリ (白 48.Ra7-a8 まで)
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 カリャーキンが攻めても受けてもお手本のような

 他のボードは、注目のカードだったアナンド対ナカムラ戦が早々にドロー、カールセン対カルアーナ戦もドローでした。ただ、後者のゲームは両者とも力の入った面白いゲームだったと思います。女子トップクラスのホウ・イーファンが、アニッシュと同様にフレンチをカリャーキンにぶつけていました。(ナカムラ - アナンドもフレンチだった!)こちらは序盤からカリャーキンのうまいポーン・ラッシュをまともに受けてしまい、全く一方的でした。ホウも次から出直しです。このゲームはカリャーキンが、攻めても受けてもお手本のようなすばらしい指し方を見せてくれたと思います。攻めの 11.c4! 受けの 27.g3! は、プロのテクニックを見せてくれました。

 カリャーキン vs. ホウ (白 27.g2-g3 まで)
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 ライブ中継は公式サイトがお薦め

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1ラウンドのアニッシュ

 ライブ中継は少なくとも4つ以上のサイトで行っていました。お薦めはビデオ付きで棋譜が見やすい[ 公式サイトのライブ ]です。そこでA、B、Cグループの全棋譜を振り返ることもできます。

 どのラウンドも日本時間で夜9時半から試合開始のようですが、終了が夜中の1時、2時になるため、最後まで見続けることが難しいのが困ります。オランダだと開始が午後1時半なので、夕食までに終える感じなのですが、日本ではうまく行きません。ただし、チェスは棋譜を見て自分の眼前で戦いを見ることができるのが救いです。

 このトーナメントはたった今始まったばかり。今後はどんなゲームが見られるのか、誰が優勝するのか楽しみです。またアニッシュの復活に期待していたいと思います。

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (2)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月12日]

ヴァイカンゼーの開会式

75回を数える歴史

 北海に面したオランダの田舎町で2週間以上にわたって行われるチェスの祭典、それがタタ・スティール大会、 通称ヴァイカンゼー(Wijk aan zee の現地発音)です。年1回の恒例行事であり、今年で75回を数える歴史を誇ります。

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アニッシュ・ギリ © Chessvibes

 アマチュア・ファンも何百人という単位で参加しますが、注目はA、B、Cと3つに分かれたグランドマスター・ グループ のトーナメントです。「チェス界のウィンブルドン」であり、まちがいなく世界チェス界トップイベントのひとつでしょう。

 Aの参加者は、レーティング世界1のカールセン、前回優勝のアロニアンをはじめ、注目の若手、カルアーナやナカムラなど、誰一人として当たりの楽なプレーヤーがいません。また、女子トップクラスのホウ・イーファンも男子プロに混じります。アニッシュ・ギリも、地元オランダのチャンピオンとして、もちろん最高レベルのAに出場します。

本格的なクラシカル・チェス

 現地ではすでに開会式が行われ、各選手がステージ上でボタンを押してペアリングのくじを引く場面がネット上に掲載されました。 日本時間で1月12日夜から行われる1ラウンドから、惜しげもなく好カードが組まれてします。グランドマスター・ グループはスイス式ではなく、トーナメント式(日本でいうトーナメント式ではなく総当りです!)で行われます。 持ち時間は40手100分、次の20手50分、残りを20分であり、すべての手に一手当たり30秒が追加されますから、 本格的なクラシカル・チェスです。

 もちろんゲームはネットで世界中にライブ中継されるでしょうが、英語でも大丈夫な方は、リンクのサイトから。 そうでない方はこのサイトで結果、情報を得てチェスがどのどうに競技されているのかを知っていただきたいと思います。 また、アニッシュ・ギリの応援もよろしくお願いします。

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開会式大きなテント © Chessvibes

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開会式 世界チャンピオンのアナンドが中央。右端がアニッシュ © Chessvibes

 

開会式とインタビュー

 次のビデオは、開会式と会場の様子、アマチュア・セクションの試合の様子がよく撮影されています。開会式でのアロニアン、カールセン、カルアーナ、アナンドへのインタビューも秀逸です。「アナンドにはレーティングが7位なのはどうして?」という厳しい質問が。もちろんアナンドも6回目の優勝をねらっていると答えていました。(英語) 開始22秒でアニッシュと妹のアユーシャが瞬間映るシーンがありました!


 


2012年を振り返って・・・

[2013年 01月10日]

「2013年がみなさんにとってどうか良い年でありますように!」

    2012年を振り返って・・・

 トーナメントが次から次に休む間もなくある中、一息入れて昨年を振り返るなんて簡単ではないのですが、 この場をお借りして、多くの浮き沈みと魅力的な大会があった僕の昨年のチェスを振り返ってみたいと思います。

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© Fred Lucas

 2012年はレジオ・エミリアでの優勝から始まりました。最初2局が振るわなかったのに、そこから何とか盛り返して取った大会でした。 2局のペトロフによる勝利(そう言えばこの定跡にいつも助けられてきたっけ。(^^ゞ)、 そして白番での完璧な2局の勝利が、単独優勝に導いてくれました。

 それから、ヴァイカンゼーでの好調なスタートがありました。僕のレーティングは 2740 ぐらいまで上がって・・・。 しかし、それもこれも5連敗することによって、僕が崩壊するまでの話でした。

 何とか取りもどそうと肩に力が入ったからでしょうか、僕は、続くヨーロッパ個人選手権でもレーティングをさらに 20 も落としました。 それでも、僕の控えめなロシア・リーグでの成績(1勝2ドロー)と、マルメ大会での(50%より)プラス1(チェスでは普通1勝が1点)という固い成績が、 ちょっびり調子を落ち着かせてくれました。その後、2期続けて良い成績を出していたフランス・リーグで、カムバックを図ろうとしたものの、 内容の濃いチェスは指せていましたが、自信のなさがわざわいしたのか、プラス1以上の成績は無理でした。

 オランダ選手権の前は、高校の最終年度1期の定期考査を終え、チェスの練習時間もたっぷり取れました。 自分を取り戻すことができたという点で、とても良い休養期間になりました。 その大会で7戦して6点という、まるでおとぎ話のようなすごい成績でカムバックできたのは、まったく望外の結果でした。 強豪ばかりの大会での圧倒的な優勝だったからです。その調子の波に乗っていたからでしょうが、 ビール大会でも好調は続きました。最終ラウンドまで優勝争いをし、プラス2の成績で終えることができ、 レーティングのトップ・リストに返り咲くことができたからです。

 チェス・オリンピアードは、例の不可思議なパスポート事件のためにスタート時点でスタートできないという面白い体験をしました。 ときかく僕が加わることができて、少なくとも風向きがオランダ・チームの方に変わりました。僕がそこに着いてから、 僕自身の成績は奇跡的というより平均的なものだったのですが、チーム全体が突然に復活したのです。6位という最終順位は、 チームにとって大成功であり、これからもすばらしいチーム・スピリットを保ち、良い成績を出し続けていけたらと思っています。

 ロンドンでの、僕の最初のチェス・グランプリ(世界選手権予選)体験はとても厳しいものでした。 最終成績は勝ちなしのマイナス3点であり、どの試合にしても相手のプレパレーション内で戦い、 いつもひどいポジションを前に戦っていたと言うのは、決してオーバーな言い方ではありません。 頑張って何局かで粘り強さを発揮しましたが(黒番で対アダムス、レコ、ゲルファント。白番でイワンチュック、グリシュック) しかし、本当に勝てそうになチャンスは結局ひとつも無かったのです。来年はグランプリが3戦ありますので、 できればこの経験を生かしたいと思います。

 ヨーロッパ・クラブ・チーム選手権では、僕のロシア・チームが銅メダルで、まあまあの成績でした。 僕自身のプレーはかなり変則的だったにしても、それほど悪くはなかったのです。続いてウニフェ大会も同様でした。 ちょっとした不運も手伝ってチャンスをつぶし、僕は平凡なマイナス1点で終わりました。

 幸運だったのはスペイン・リーグで復活できたことです。チームがスペインのチャンピオンとなったのはもちろんのこと、 僕自身もすばらしいスコアでしたし、最終的にすばらしいプレー内容とプラスの成績でこの大会を終えることができました。

 北京のスポーツアコードに参加したのは2回目でした。ラピッド(早指し)とブラインド(目隠し)においては、 1回目よりわずか0.5点良かっただけの、前回と同じようなひどい成績でした。ブリッツ(超早指し)ではマイナス5点でした。 いくつかはレベルが高い内容ですし、全体的に満足していますが、結果がついて来ませんでした。

 北京から帰るとすぐにUAEに飛び、そこで世界シティー・チーム選手権に出場しました。優勝することでこの年を終える、 そんな光栄に恵まれた大会でした。ソコロフ、ティヴィアコフ、スメーツで構成されたホーヘフェーン市チームで、僕は第1ボードでした。

 そして今、前にも言いましたが、すぐにヴァイカンゼーがあり、様々な大会も僕の参加を待っています。来年は高校卒業の年ですから、 学業も頑張らなくてはいけませんし(卒業の年。だから指をクロスする幸せのサインをやってみたい!)、スケジュールは満杯で忙しいのですが、 それでも僕は精一杯の努力で乗り切って行くことを楽しみたいと思っています!

 では、来たる2013年がみなさんにとってどうか良い年でありますように!

2012年12月末日 アニッシュ・ギリ

(※この挨拶は 英語版サイト に同時掲載されたものです。)

 


 2013年 タタ・スティール・チェス・トーナメント (1)

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  Tata Steel Chess Tournament
  2013年1月11日~27日
  ヴァイカンゼー(オランダ)


[2013年 01月07日]

この Wijk aan zee 大会におけるギリ,アニッシュの結果

年度 結果  アニッシュの活躍
2009 C2位

Cクラスへの初登場で2位の衝撃デビュー!
1点差でC優勝したウェズリー・ソーと死闘を演じ、黒番で倒す。

2010 B1位

前回よりクラスを上げてどのくらいできるか疑問の予想に、
勝ちまくって、圧巻のBクラス単独優勝!

2011 A7位

Aクラスで世界トップと堂々の渡り合い。特にカールセンに勝つ。
このときの優勝はナカムラだった。

2012 A13位

Aクラスの上位に食い込むような結果を期待されていながら、
後半失速して最下位に甘んじる。優勝はアロニアン。


[2013年 01月06日]

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スペイン・チーム選手権にて © chessbase

 チェス界のウィンブルドン

 タタ・スティール大会、通称ヴァイカンゼーがいよいよ始まります。昨年の優勝はアロニアンでした。 参加者を見れば、アロニアンが「チェス界のウィンブルドンを取った」と言い放ったのはもっともです。この大会は事実上の世界1を決める大会と言っていいでしょう。

 AからCクラスまでありますが、Cクラスでさえ、普通のグランド・マスターは勝つのに苦労するくらいの競技会です。

 それら世界トップ・ランカーたちに混じって地元期待のアニッシュ・ギリがどこまで迫れるのか注目されます。これまでこの舞台でヒーローになってきたのに、昨年は後半に屈辱の連敗を喫し、最下位に甘んじました。Aクラス参加は3回目ですが、今年にかける思いはまた格別でしょう。

 また、他の参加者も普通の国にいたら全員チャンピオン級の名人ばかり。それぞれどんな定跡を使うのか、どんな新手が飛び出すか、興味は尽きません。

リンク: 公式サイト

 

 グランド・マスターAのエントリー


シード 氏名 国籍 ELO 世界ランク ひとこと紹介
1 カールセン,マグナス NOR 2861 1位 レーティング世界1の天才児、優勝して当然?
2 アロニアン,レヴォン ARM 2802 3位 昨年の優勝者、カールセンのライバル筆頭
3 カルアーナ,ファビアーノ ITA 2781 5位 最近ランク急上昇、優勝をねらう若手
4 カリャーキン,セルゲイ RUS 2780 6位 ロシアの若手ピカイチ、元優勝者
5 アナンド,ヴィスワナーサン IND 2772 7位 現世界王者、5回も優勝のミスター・タタ!
6 ナカムラ,ヒカル USA 2769 9位 日本生まれ、昔は早指し王、元優勝者
7 ワン,ハオ CHN 2752 14位 中国のナンバーワン、伸び盛りの若手
8 レコ,ペーター HUN 2735 19位 元優勝者、世界王者挑戦者のベテラン
9 ギリ,アニッシュ NED 2720 29位 以前日本に住んでいた普通の高校生?
10 ハリクリシュナ,ペンターラ IND 2698 49位 昨年Bで優勝してAに這い上がったダークホース
11 ファンヴェリー,レーク NED 2679 68位 地元オランダの精神的大黒柱
12 ソコロフ,イワン NED 2663 82位 オランダの大ベテラン
13 ラミ,エルヴィン NED 2627 145位 現オランダ代表の強豪
14 ホウ,イーファン CHN 2603 215位 前女子世界王者がどこまで食い込めるか

 


 HAPPY NEW YEAR 2013! 

[2013年 01月05日]

 2013年 新年明けましておめでとうございます! 


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シティー・チーム で優勝のアニッシュたち! © José Diaz

 With a gratitude to all our visitors, well-wishers and friends for being with us and helping us in one way or the other throughout the last year, we wish a very happy, successful and prosperous New Year 2013!!!

 このサイトに訪問してくださった方々、そして昨年、様々な方法で私たちに応援したり支援したりしてくださった皆様にとって、 どうかこの2013年が幸せで、豊かで、そしてさらに素晴らしい年でありますように!!!

 ( 英語版 のごあいさつより)

AnishGiri.NL

次はいよいよヴァイカンゼー

 アニッシュが参加するチェス大会、次はいよいよヴァイカンゼー(オランダ)で行われるタタ・スティール・チェス大会。 世界トップ・クラスをどこまで追い詰められるか、楽しみです。 イベント情報 参照。