アニッシュの記事 2012年11月


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アニッシュが語るスペイン・クラブ選手権 

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11月5日~12日

スペイン・チーム選手権 2012

 (レオン市 スペイン)

 

 

[2012年 11月24日]

僕のチーム

 そのトーナメント表をながめているだけで幸せな気分になるのだから、正直に言うと、僕はもうすでにその日々がなつかしいと思い始めていた。最悪の時期(僕の最初の試験期間が終わった直後)に、僕らのスペイン・チームは国内の選手権タイトルで優勝し、僕は何とか第3ボードで(6戦して5ポイントのハイ・スコアで)貢献することができた。

 今年のスペイン・チーム選手権(地元でいうところのオナー・ディヴィジョン)が レオン市 で行われた。美しい都市で、 マギストラル・デ・レオン という年1回の世界トップ・レベルのチェス大会で有名な都市でもある。

 僕はいろいろな理由でこの大会が待ち遠しかった。良い結果を出したいと思っていたこともあるけど、まあ、最低でもチェスは指したいし、僕の胃袋の好みも理由のひとつだ。僕が言いたいのはハモン(スペイン特産の生ハム)とスペインの新鮮なオレンジ・ジュース(これはおすすめ!)のことだけれどね!

© Officialsite

 何はともあれ、チェスの話題に入ろう。この大会についてのことにだけれど、僕のチーム、「セスタオ・ナチュルガス」(ビルバオに近い都市の名前)は、まちがいなく今年の優勝候補だった。ドミンゲス、ヴァシエ・ラグラーブ、ロマン・エドワール、そしてローレン・フレシネ(彼はチーム新加入、これで今期のフレンチ・トリオが完成)、さらにスペイン人のデル・リオ・アンジェリース、アルフォンソ・ロメロ、マリオ・ゴメス、そして熱心なサポーターであるセルジオ・トリーゴがメンバーだ。昨年の天敵、「グロス・ハケ・タルデア」は、アレクセイ・シロフがスペインを去ってから、かつての力は無かったが、それでもライバルなのは確かで、少しも楽観は許されなかった。

© Officialsite

 チーム戦では、しばしば強いリーダーを持つことが重要だ。その点、GMレニエ・ドミンゲスはぴったりであり、当たるプレーヤーをどの手番でも次から次へとなぎ倒していた。昨年から、レニエはスペイン特有の長い夕食の後、必ず最高にすてきなデザートを注文するのを見て、スペインでは絶好調だなと、僕は妙に納得していたことがある。だから今年は、ある意味彼に習うことにした。同じデザートを注文し、どのゲームでも白番なら 1.e4 と指し、黒番ならグリュンフェルトにした。(いや、最後の2局がグリュンフェルトだったのは単なる偶然なんだけれどもね・・・)他のメンバーもしっかりと固いチェスを指せていた。ほとんど負けが無かったし、当然だけど、メンバーが負けなければめったにチームは負けない。チームが負けなければ、大会で勝てないことはめったにない、そうなったら順風満帆に事が進んで結果が出る訳だ。

 

[2012年 11月23日]

1ラウンド、そして旧友との再会

 僕のゲームの内容はとてもシンプルかつストレートで、それこそ僕が指したいチェスだった。 (残念ながら僕に運が向いているときだけそうだったのだが・・・)とにかく一度うまく行くと、 すべてのポジションがピッタリ来て、 すべての指し手が湧き出し、すべての変化が計算されたくて叫び出す感覚になるものだ。

 1ラウンドは「リネックス・マジック 」とペアリングされたので僕はスヴェトゥシキンと白番で相対することになった。

 チームメイトのひとりが、ニヤリとしながら、きっとメイトできるぜとささやいた。それは本気にしなかったが、挑戦的に 1.e4 と指すことにした。僕がナヴァラ相手に2局指したスコッチ定跡に対して相手が準備していたなら、いい機会だと思ったからだった。(まったく変な偶然なのだが、僕はナヴァラ相手に2局スコッチを指し、バクロ相手にジオッコ・ピアノ定跡を2局指しているが、それらの定跡を他で指したことは一度もない)

 スヴェトゥシキンは、しかしながら話題の Bc5 に Nb3 とするシステムの準備はなく、すぐに僕は優位を得て僕の好きなポジションになった。誰だったかに、どんなポジションが好きかと聞かれたことがあったが、Kh1 Re1, Bf1 とできる局面だと答えたのを覚えている。さらに、Kh1 の代わりに Kb1 でもいい。(図1)そんな僕の通常の指し方が自然とできたこともあり、間もなく黒のポジションが直接攻撃に対して望みのないものになっていった。

 次のマッチは「レヴェルテ・アルボ」とだった。そのチームには僕のブンデスリーガでのチームメイト、ミハイル・メシェドリシヴィリなど、セント・ペテルブルグからの仲間たちがいた。実際、彼らは僕が昔そこに住んでいたときからよく知っている人たちだった。相手はセルゲイ・イワノフ、手堅いグランド・マスター、かつて(僕が最初にいた)セント・ペテルブルグのチェス・クラブで子どもたちに、ウィナワー・バリエーション定跡についてのレクチャーをしたことがあるプレーヤーだった。僕がそのラインを指していたか、そのレクチャーの後はどうだったかは記憶にないが、いずれにせよ黒番を持っていた僕はその定跡をなぞる戦いはさけた。

 僕の相手が最近 Rb1 グリュンフェルト(図2)から、手損のラインに切り替えていたのは驚いた。その日、戦う気持ちはあったが、強制ドローを許す手順があると知っていながらも、その変化に乗らない理由がなかった。事実、僕の相手は2度同じ局面になったが、どちらも「危険な 」d5 を指していないので、(正直に言うと、深く分析すれば黒良しに近いけれど)黒にとってまったく無害なラインになっていた。 だから、それほど大きな驚きもなく、手の繰り返しになった。かつて、ある有名プレーヤーが、やや沈黙した後、僕に言った言葉を思い出させた。「ドローだって? 何だドローかよ!」

[2012年 11月24日]

ラテン・アメリカ人

 いずれにせよ僕らが2戦目もとても調子良く勝った後に、僕は3戦目に向けた準備を始めた。ところがそのときに、次は休んでもいい、その次には白番にするよというような優しい言葉をかけられた。どの色を持つのかより、重要なニュアンスも(そうでないと考えるチェス・プレーヤーもいるだろうが)ときにはあるものだ。特にこんな短手数でドローにしたゲームの後なら、僕が休むことはその後で相手にされない可能性もあり得る。僕たちの次の相手は「エキゴマ・カハ・ソシアル・カトリカ」というラテン・アメリカ人たちのチーム(第1ボードはイトゥーリサガー)だった。

 僕の相手、コヴァリョフ,アントン、彼は僕がオランダ人だと主張するのと同程度のラテン・アメリカ人。だから、互角の戦いになるだろうと思った。再度グリュンフェルトで行くことにためらいはなかった。実際、1.c4 でアンチ・グリュンフェルトに持っていこうという彼の作戦は、1...g6! で失敗する。そこで僕たちのゲームはメイン・グリュンフェルトに突入し、予想通りメインの道からは、すぐにはずされた。

 このような激しい序盤戦は、白番が何かを避ければ避けるほどメイン・ラインよりも苦しくなるのが面白いところだ。実際、彼も、どんなメインラインより苦しくなっていた。相手は僕を序盤から激しく揺さぶってきた。( e3 で、かわいそうな f1 ビショップを無視しての Rd1 、それと特に Qa3 だが、どうしようかと思わされた)が、すでに10手目に追い風を得たのは僕の方だった。その勢いを使って超強力な 10...a5! (図3)を指すことができて、イニシアティブと、アドバンテージを握ることができた。

 そのとき、僕の相手は完全なポーカー・フェイスで、何事もなかったかのような振りをしてポーンを取っていた。両者ともにポジションは僕の方がいいと認めていた。それは確かだが、このアドバンテージが何か現実のものに実体化させる方法が、そのときにはどうしても見えて来なかった。実際がっかりだったのは、局後にこの面白いゲームを検討しているときに、黒が良くなる指し方をいくつも見つけることができたときだ。このゲームが最悪だったとは言わないが、それでも 1/2-1/2 の下に自分の名前をサインするときは、何か割り切れない気分だった。

コヴァリョフ vs. ギリ 自戦記(日本語!) more2012.11.23

 その調度良いウォームアップの後、チームから休みをもらった僕がちょっとがっかりしたのは次の相手が「グロス・ハケ・タルデア」のクリスチアン・バウワーだと分かったからだった。彼の序盤はとてもじゃないが予想できないので1日多くあっても仕方ないからだった。うーん、・・・だからこそ、休みは良い一日になったかな。チェス・ベースから離れて、無駄な次のゲームの準備をしないようにしたからね。その日、僕のチームはかなり格下のチーム、「フォモン・マルチナン」と戦い、前と同様に勝っていた。

ラッキーな勝利

 僕らと「グロス」とのマッチはとても順調に進んだ。どういう訳か全てのゲームがすぐにドローになって消えて行き、残ったのは僕とレニエ(チーム・リーダーのGMドミンゲスの名前)のエンドゲームで、その2局ははっきり優勢だった。

 レニエの方の固いベルリン定跡とちがい、僕の方は鋭いタイマノフ定跡だった。1.d4 e6 ( e4 とやらないの?) 2.Nf3 (うん、やらないよ) c5! (やらないの?) 3.e4 (わかった、やるよ!)。実のところ、タイマノフ・ヴァリエーションとの対戦は僕にとってそれほどイヤではなかった。僕はその定跡の研究を思い起こすために時間をつかっていた。(2009年頃だったか、僕は何局かをそれで上手く勝ったことがあったが、それからだんだん使わなくなっていたのだ。)

 クリスチアンはめったに指されないが、面白く、よく知られたシステムを採用した。僕は、ざっとながめてから、上手い単純な解毒剤を見つけることができたことを覚えている。僕らはすぐにフレンチ定跡の形にしたが、しばらくするとゲームが、コンピューター解析のようにすっきり見えなくなってきた。それでもなお僕は欲しかったものを手に入れ、その後、叫びたくなるような黒のチャンスに両者とも気が付かず、その後、僕の方に利のあるエンドゲームになった。自分のエンドゲームの進め方はかなり上手かったと思う。とはいっても、いわば、例の Kh1, Re1, Bf1 みたいなポジションだった訳で、それほど難しい仕事ではなかったのだけれどね。

 おそらく僕の相手はどこかでもっと上手くディフェンスできたかもしれない。しかし、いつだったか、僕が盤から離れたときに、相手の荒い息づかいが聞こえてきた。僕が理解したのは、彼やその仲間たちにとっては決して楽しい局面ではないという事実だった。

ギリ vs. バウワー 自戦記(日本語!) more2012.11.23

[2012年 11月24日]

 この時点では、すでに僕らのチームの勢いが誰にも止められない状態になっていたし、僕個人の出来にしても、面白いゲームが指せ、ポイントを取っていたので、それなりに満足していた。

 次のゲームがこの大会で一番むずかしいものになるだろうと思っていた。僕が黒番を持って相対するのは、手ぐすね引いて敵を待ち受ける危険な相手、ガングリーだ。実際、彼は僕との対戦に向けてグリュンフェルトのメイン・ラインを調べあげていた。そのメイン・ラインの中に入っていくのは無謀だと思った僕は、自分がかなり注意深く用意したアナリシス(分析手順)を何とか思い出してぶつけることができ、彼に希望を与えなかった。

[2012年 12月02日]

 白が局面をポジショナルに改善する Rb1 と、ナイトを d4-b5-d4-b3 を経由して d2 へ置くマヌーバー(駒の移動)については、簡単な解決策がある。僕は本局で何とかそれを思い出すことができた。そのゲームの局面は、ちょうど僕のプレパレーション(序盤準備)通りだったように思う。 実際、僕はすぐにドローになるだろうと軽く考えていた。しかし、ある時点での2手を指す間に、超微妙な相手の優勢から超微妙な僕の優勢に流れが変わったことに気づいた。ガングリーはドローだが、わずかに良くないルーク・エンディングで妥協することを決めた。

 僕はもちろん彼のドロー・オファーをけった。といってもかなりドローっぽいポジションなので、本当に勝てると思って見果てぬ夢を追っていた訳ではない。そこから僕は特にすることがなかったので、かなりの早指しになっていた。ルークを交換し、いくつかのポーンを進めて交換し、僕が実際に何かを追い求めているふりをしようとして、キングを上下させていた。キングを再度上下させようとしたそのとき、僕はスリヤ・ガングリーに何か微妙なためらいがあるのを見て取った。おそらくスリヤは、頑固に僕のキングが d ファイルを渡らないようにしたかったから手待ちをしようと思ったのだろう。ルークで手待ちだったら良かったのに、キングを f2 に動かしてで・・・。これが僕の好手 e4! (図4)を招いた。結局、スリヤは、白黒ともにポーンが2つずつの互角の駒割りながら絶対に白の負けという形にしてしまった。

ガングリー vs. ギリ 自戦記(日本語!) more2012.11.23

 これがかなり大きなポイントになった。そのおかげでチームとしてはドローを取り、ライバルはもう追いつけなくなっていたのだから。【ドミンゲスが負け、アニッシュが勝ち、フレシネを含む他の4名はドローとし、チームとしてはドローとなった。】

甘い勝利

 次のゲームは通常より7時間早くスタートした。(午前10時からと言っても、その厳しい状況はうまく伝わらないだろう。)だから、僕のスペイン人の相手、クエンカ・ヒメネスの方が、僕よりずっとつらいと思う方に望みをかけた。

 今回こそ 1.e4 と指さないようにしたが、最後にはマロツィー・ドラゴンの変化になり、結局 1.e4 と指したようになってしまった。(1.Nf3 2.c4 と、1.e4 の定跡にしないようにしたのは確かなのだが・・・)僕は相手を Bf2!? で驚かせようとした。それは、黒が Qb6 Rfc8 Qd8 という通常のプランを実行しようとする場合にはとてもうまいやり方だ。僕の相手は、しかしながら、Be5 と e6 と大変面白い方法で返してきた。それは、よく知られたプランだが、僕の f2 ビショップのためにより効果的なプランとでも言うべきものになっていた。端的に言って、このゲームは、僕がエクスチェンジ・サクリファイス【ルークとナイトかビショップを損と知ってて交換すること】した後も、相手が普通より悪い手を連発するときまではバランスを保っていたのだ。

 だから楽勝だったなんてことは全然ない。このゲームでは、Bxe4! のトリックを2度見落としたことから始まり、エンドゲームのパーペチュアル(繰り返しドロー)まで、僕はもう少しでポカを指すところだった。幸運にも、すでに述べた通り、僕は寸前でポカに気づき、何事もなかったかのように早々とチェス盤を後にすることができたのだ。

 6戦して5ポイントだった。この大会が終わってしまって少し寂しい気分だが、欲を言ってはキリがない。こんなにすばらしい勝利の美酒を素敵なチーム仲間で分かち合うことができたのだから。なにしろ大会の間中、調子が良く、最高のチーム・スピリットと雰囲気があるプレーヤーとともにいて、完璧な仕事ができた訳だから言うことなしだろう。

 最終日、僕とフランス人3人衆はビルパオに飛び、このリーグをいつものやつでしめくくっていた。フランス・チェス界談義と、そしてスペインの生ハム、「ハモン」とでね。

[2012年 12月05日]

アニッシュのゲーム解説を日本語で!

 このサイトでは、世界トップ・クラスで活躍するグランド・マスターの棋譜解説を日本語で読むことができます。 チェスが強くなりたいと思う日本のチェス・ファンにとっては貴重な情報源のひとつではないでしょうか。 レベルがかなり高いので何か分からない部分が多いと思いますが、ぜひご覧になってみてください。

 ゲーム解説のもくじ: moregames ゲーム分析(解説)

 

スペイン・クラブ選手権 

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11月5日~12日

スペイン・チーム選手権 2012

 (レオン市 スペイン)

 

ライブ(チェス・ボム)      公式サイト (スペイン語)      棋譜鑑賞

[2012年 11月16日]

それこそ僕が指したいチェスだった・・・

 すでにアニッシュ自身の手による記事が英語版に掲載されています。 「今回は非常にシンプルかつストレートな(単純かつまっすぐな)チェスだったが、それこそ僕が指したいチェスだった・・・」 というサブタイトルがついています。確かに、どのゲームも雑味のない良質のチェスでした。切れ味鋭いサクリファイスは、 特にありませんでしたが、まさにチェスのプロらしい、玄人受けするゲームが多かったからです。 棋譜を並べれば、誰でもどのレベルでも良い勉強になるでしょう。

 近日中に日本語でお届け出来る予定です。もちろん、アニッシュが自分のゲームを解説する記事も掲載します。 (とても待ち切れないという方は、英語でよろしければ、 こちらの英語版 でご覧ください。)また、アニッシュの自戦記も、 棋譜鑑賞 でご覧になれます。 まだ英語のままですが、順次日本語になります。どうぞお楽しみに!

[2012年 11月13日]

GMガングリーは70手まで指してリザインした

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ガングリー対アニッシュ 41手目白番の局面
確かに黒優勢なのですが、・・・

 以前の記事で、なぜガングリーは40手でリザインしたのかということを話題にしました。 実は、ニュース・ソースがまちがっていました。GMガングリーは70手まで指してリザインしたのです。 記事がまちがっていた訳で、お詫びします。

 図は40手まで、確かに黒優勢なのですが、しかし、ここから勝つのは決して楽ではありません。 アニッシュはプレッシャーのかかる中で、正確なエンディングを指し、結果を出していました。 上級者受けする、かなり面白い内容のチェスとなっています。(→  棋譜鑑賞

学校の勉強はチェスの成績向上に役立つ!?

 エピローグ(後日談):

 今回、勝ちが多かった大会を終えて、アニッシュは「非常にラッキーな大会だった」と語っていたそうです。が、実は大会前、通学している高校の試験勉強が追いつかず、行きの汽車の中でずっと勉強をしていなければいけないくらいの大ピンチだったそうです。 「学校の勉強で頭をフル回転させたために、チェスの成績が良かったのでは?」とご両親に言われてしまったらしい。

 うーん・・・、してみると、やはり学校の勉強はチェスの成績向上に役立つのですね!?

 

アニッシュの活躍、そしてチームは優勝!

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チームの表彰とアニッシュ・ギリ(赤服の右から2人目) © Official site

[2012年 11月12日]

 7ラウンド黒番で勝ち

   amazing

アニッシュの強手、相手の Bf4 が見えている中の 22.Nd4 !

7ラウンド  GMギリ,アニッシュ 2715 対 IMクエンカ・ヒメネス,ホセ・フェルナンド2490 白勝ち  

 アニッシュは最終ラウンドも長~い名前の格下選手に問題なく勝ち、 これで勝率を83%としました。

 図では相手の Bf4 が見えて見えている中の 22.Nd4 の手をアニッシュが指した局面。エクスチェンジ・ダウン(ルークとビショップの交換で損をすること)を考えても、その手が強力なら指して行きます。この手が悪手とならない世界でマスターたちは戦っています。

 この手から以降は、完全に主導権を握り、よくがんばっていた相手に逆転のチャンスを与えず、アニッシュは勝ちきりました。(→  棋譜鑑賞

 チームも2位のソルベイに差をつけての優勝となりました。 このチーム戦は内容も結果も、アニッシュとしては、まあまあ満足できる結果になったのではないでしょうか。

 これぞファンとして待っていた活躍でした。

[2012年 11月11日]

 6ラウンド黒番で勝ち

6ラウンド  GMガングリー,スーリャ・セカール2619 対 GMギリ,アニッシュ 2715 黒勝ち  

 チーム戦としてはアニッシュのチーム「…エネルギア」が、僅差で追ってくる2位の「ソルベイ」との直接対決、 かなり重要なラウンドでした。

 チームに大きく貢献した勝利

 前のラウンドではアニッシュの勝利を援護射撃にして勝ち切った主将ドミンゲス(キューバ)でしたが、 このラウンドはハリクリシュナ(インド)に主導権を握られ、非常に苦しいルーク・エンディングになりました。 そして結局土俵を割ります。

 他のメンバーがドローでがんばる中、アニッシュの方は強豪ガングリー(インド)相手に、 黒番でほとんど互角のエンディングに突入しました。これは勝てないだろうという局面を、 お手本になるような指し回しでした。

 「最終局面は決定的なものではありません。チームの命運がかかっているので、 もう少しがんばってみるのが普通のはずなのですが・・・。 ここからは想像ですが、指し手が40手近辺ということを考えると、相手の持ち時間が切れたことも考えられます。 手数のかんちがいで、40手に届かないのに考えていて持ち時間が切れた事故もたまにあるようですから。」(山田弘平談)

 40手を過ぎると延長の持ち時間が追加されます。しかし、39手まではそれがありません。しかし、そうだとしても、 相手のガングリーが持ち時間を切るほどアニッシュがプレッシャーをかけ続けていたとも言えると思います。 黒番ながらイニシアティブはアニッシュにありました。もしアニッシュが勝たなかったら優勝争いがかなりもつれた訳で、 アニッシュがチームに大きく貢献した勝利でした!

 このゲームの方は 棋譜鑑賞サイト に掲載しておきます。

[2012年 11月10日]

 5ラウンド白番で勝ち

5ラウンド  GMギリ,アニッシュ 2715 対 GMバウワー,クリスチアン 2639 白勝ち  

 

   sestao

白ギリ-黒バウワー、図から、26. Re5! が好手。
確かに白優勢だが、ここから勝つのが難しい。

 4ラウンドを休んだ後の5ラウンドは、GMバウワーに対してエンディング・テクニックを駆使しての勝利となりました。 観戦者からはリトル・カパブランカ(「小さなカパブランカ」…カパブランカはエンディングが神がかって強かった伝説の世界チャンピオン) という声もあがるほど、見事なゲーム内容。このようなゲームができるということは何も心配ないということであり、 ホッとしました。

 GMバウワーについて

 相手のバウワーは、今年のオリンピアードでフランス代表。今年8月のフランス選手権のとき4ヶ月の息子さんを亡くされました。このときはバウワーと、GMバクロ、GMエデュワール、そして、先日来日したラグラーヴの4名が最終局を前に同点で王座をあらそっていました。この悲報に最終局は中止、タイブレークは選手全員が棄権。異常事態の中、国内の運営側は4名をフランス・チャンピオンとしました。同じく来日して羽生さんが引き分けたアルミラ・スクリプチェンコはそのときの女子チャンピオンです。脱線しましたが、・・・というわけで、バウワーはかなりの強豪です!(chessbaseの ニュース より)

 準決勝クラスのラウンドで、この1勝はチームに貢献するものでした。 (アニッシュが勝たないとチームの結果がドローになる可能性があった) アニッシュのチームは、主将GMドミンゲス・ペレスに率いられたチームで、ここまで連勝で1位です。 日本に来てその力を見せつけたGMラグラーブもチーム・メイトです。

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アニッシュ・ギリ(左)とドミンゲス © Chessvibes

 チーム名について

 チーム名は、「セスタオ・ナチュルガス・エネルギア」、よく分かりませんが、スペインが本部の大きなチェスクラブ、 セスタオ から命名されたようです。セスタオとは、スペイン北部の地中海に面した町であり、 ビルバオ大会で有名なビルバオの近くにあるようです。チェスが盛んなのでしょうか。

 一方、インドのGMハリクリシュナ率いる「CAソルベイ」が2位と、僅差で追っています。 そして、次の最終ラウンドが決勝戦とイコールです。

 

[2012年 11月08日]

 3ラウンド黒番でドロー

3ラウンド  GMギリ,アニッシュ 2715 対 GMコヴァリョフ,アントン 2596 ドロー (棋譜なし)

 事情は分かりませんが、白番で早々にドローとし、4ラウンドもお休み。体調が悪いのかもしれません。

 2ラウンド黒番でドロー 

2ラウンド  GMイワノフ,セルゲイ2542 対 GMギリ,アニッシュ 2715 ドロー

[2012年 11月06日]

 1ラウンド白番で順当勝ち

 アニッシュ・ギリは第3ボードで「…エネルギア」というチームの第3ボードに出場し、2500台のGMに順当勝ちしました。 珍しいスコッチ・オープニングを選び、中盤から強引にキングを攻撃して相手をつぶしています。 この棋譜は チェス・ボム でも見れますが、このサイトのビュワーでも閲覧できるようにしました。 新しい試みとしてフリッツ13(エンジンはフーディニ)の解説をつけてみました。

1ラウンド  GMギリ,アニッシュ 2715 対 GMスヴェトゥシキン,ドミトリー 2584 白勝ち

 

アニッシュ今後の予定 ウニフェでのインタビュー 

anish
© Fred Lucas
 

アニッシュの今後の予定は、次のようになっています。( イベント情報 を参照)

1 スパニッシュ・リーグ(レオン市、スペイン)11月5日~11日

2 スポーツアコード世界マインドゲームス(北京市、中国)12月12日~19日

3 世界シティー・チーム選手権(アライン市、UAE)12月21日~29日

次は、ウニフェ大会後に行われたアニッシュへのインタビュー(From Chessvibes 英語)です。後半にガールフレンドとの2ショットも!?

 このインタビューはウニフェ大会会場で行われたようです。オリンピアードからの自分のゲームを振り返っていて、 興味深い内容でした。これまでとちがった定跡を試していること、自分のプレーがそれほど悪いと思っていないが、 結果として勝つチャンスをものにできていない点を話しています。ウニフェ大会の調子は、体の調子も含めて本当に良くなかったようです。なるほどプレーに気合いがなかった訳ですね。

 最後には今後の予定に触れて、これから上記3大会に出場し、年の始めには毎年恒例のトップ・イベント、ヴァイカンゼー(オランダ)があると語っています。 それらの大会での活躍に期待しましょう。