アニッシュの記事 2012年02月

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 タタ・スティールの自戦記 対ガシモフ戦 

[2012年 03月 03日]

ヴガール・ガシモフとの定跡理論対決 『でたらめか神業か』


 敗因は単にプレパレーションの失敗ではなかった・・・?

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アニッシュ・ギリ(左)のゲームを観るアロニアン © Fred Lucas

 グランド・マスターどうしの対決は、忍者どうしの戦いのように、普通の人にはその全貌が見えません。 ですから、コンピューター評価の受け売りや、まちがった勝手な解説がメディアに出回りまってしまうことが多々あります。対局者がどれだけ骨身を削っているか、その裏事情を対戦者から直接聞ける機会は、そう多くありません。

 たとえば、対ガシモフ戦でアニッシュが負けた、あの一局、単にプレパレーションの失敗だけではかったようです。

 公式サイト日本語版では、このゲームの自戦記をお届けします。ときに冷徹な、ときに楽天的な、アニッシュの若々しい分析が、本物のチェスはいかにすばらしいかを私たちに届けてくれます。

 また、日本のチェス・ファン向けに基本的な部分での解説(by山田弘平)を補足しましたので、レベルはかなり高いですが、多少読みやすくなっていると思います。 どうぞご覧ください。



 「コンピューターは過小評価している」

position
図1黒番 12. Nb3 までの局面

 図1以下、

 12... Qxa2!

 ヴガールは、試合後僕に Nb6 が「おそらく簡単な勝ちだったろう」と教えてくれようとしたが、 このときは数分の考慮でポーンを取ってきた。残念・・・、気づくのが遅いよヴガール、そう来てほしかった!  この手 Qxa2 は黒が駒損の代償をコンペンセーション(代償)を握ってプレーしているのが明らかなのに、 コンピュータは過小評価している。

 

 (図1から変化として、)

 12... Nb6

 は、初期の実戦ではメインムーブだと考えられていたが、 もし白がやるべきことを知っているなら、この手は怪しい気がする。

 13. Nb3!

 13. Bc6+? Bd7!

  13... Qa3+ (図2)

 13... Qb5 14. c4! Nxc4 15. a4! Qxa4 16. Qc3 は、アドバンテージがある。本当に素晴らしい手順だ。

 「マスターレベルならば一目で切り捨てる」

position
変化図A 13... Qxa2? までの局面

【訳注:(13... Qa3+ の代わりに)13... Qa5xa2? (変化図A)とポーンを取る手は、まずい。 マスターレベルならば一目で切り捨てる手順だが、それはなぜだろうか?

 14.Bc6+! (14. Qd4!? 白良しの順は省略) 14... Bd7  (14... Nbd7 15. Qd4 黒からのカウンターが何もなく、白勝勢。このあとはゆっくり攻めていけば良い。)

  15. Qd4! 盤上この一手の好手! 大事なマス全てに狙いをつけている。 以下 15... Na4 16. Bxa4 Qxa4 17. Qxa4 Bxa4 18. f3 となって、エクスチェンジアップ。 アニッシュはこの手の解説を省いているが、この変化はGMにとって当たり前の事なのだろう。すごい!】

 

 


「無理はないでしょう?」

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図2 13... Qa3+ までの局面

 図2から

 14. Kb1 Nxa8 15.Qd4! e5 図3

 15... Be7 16. Bc1!  おっとクイーン・トラップ!


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図3 15... e5 までの局面


 (図3から)

 16. Qa7! Nxe4 17. Rd3

 Nxc3+ からのメイトをうっかりすることはない。

 Nxg5 18. Qxa8 Kd8 (図4)

 

 

 

 


position
図4 18... Kd8 までの局面

 (図4から)

19. f4!

 で、白勝ち。 「どうでしょう皆さん、僕がこのラインを試したくなったとしても無理はないでしょう?」と言いたい。

 【訳注:19.f4! 以下、 もし 19... exf4 ならば 20.Rd4! で、次の Rc4 として c8 ビショップを取る手が受からず、黒の負けになる。】

 (・・・以上、アニッシュの解説より)



  <アニッシュの 解説全文(動く盤面付き)


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アニッシュ・ギリ(奥)とヴガール・ガシモフ(右) © Fred Lucas

 でたらめか神業か

 以上は、ほとんどアニッシュが試合前に準備した内容ですが、(それもパソコン画面で数分間に!) 非常にレベルが高い攻防で、パズルのように意外な手順が連発します。 たとえば、火急の場面でぼんやり駒を浮かせるとか、キングを攻めて来た敵をワナにはめるといった手順はアマチュアに想像できません。でたらめか神業かと映りますが、 これが深遠なチェスの奥義です。しかしながら少しでも理解できれば、他ではめったに得られない本物の面白さが、感じ取れるでしょう。

 ご紹介したのはそのハイライト場面の一部です。ぜひ 全文 をご覧下さい。 他にも素晴らしいアニッシュの 解説 が多数あります。また、 函館チェスサークル のサイトにも関連した練習問題がありますのでご参照いただけたらと思います。 (山田明弘)


 アニッシュがカスパロフからマンツーマン指導を受ける 

「僕は光栄に思い、カスパロフ氏に感謝しています。」

 

  《ガリー・カスパロフのマンツーマン指導について 》

「最近、僕は伝説的世界チャンピオン、ガリー・キモヴィッチ・カスパロフと会うすばらしい機会に恵まれました。 カスパロフ氏はストラスブルグでのEUの会議に参加する途中で、ドイツに立ち寄っていましたが、 その場所で短時間でしたがミーティングが設定されていました。 それは、史上最強のプレーヤーが僕のチェスについてどう思っているかを聞く、またとないチャンスだったのです。

 カスパロフ氏は注意深く僕のほとんど全てのゲームを見渡した後、面白いゲームには彼の解説を付け加えました。 その作業を目の当たりにして僕はすっかり圧倒されてしまいました。今まで気づかなかったことがいくつか分かりましたが、 それ以上に、彼は僕の長所と弱点を明らかにしてくれました。このことは僕の今後のチェス活動に、 きっと何らかの役に立つでしょう。

 さらに、カスパロフ氏と魅力のある局面について一緒に分析し合うことができたのは、心躍る体験でした。また僕は、チェス競技から引退して長い期間プレーしていないにも関わらず、 彼がすぐにプランを立てるのを見て驚いてしまいました。カスパロフ氏の全般的なチェスへの洞察力は、 いろいろな方向に広がっていましたから、夕食時の非公式な会話でさえ、とても参考になるものでした。

 ご多忙のところ、このマンツーマンの教授を設定していただいた彼のご厚意を、僕は光栄に思い、 カスパロフ氏に感謝しています。

 最後になりましたが、僕は支援者の方々、特にマネージメントブークとシモニス&ブンク、 そして、このミーティングを可能にしてくれた友人のディルク・ヤン・テン・グーゼンダーム氏に感謝します。 そして更にこのような機会が訪れるようにと願っています。」

                                    アニッシュ・ギリ

 


 アニッシュの タタ2012 自戦記 


 『そりゃラッキー・ナンバーだ』と言ってくれたアナンドはそこにいなかったけれど

アニッシュの全13ラウンドのゲーム(解説なし)

 
 失敗した大会を振り返るのは誰にとっても辛いはずです。 しかし、アニッシュ・ギリは、ときに冷徹に、ときに楽天的に敗戦をレポートしています。 何よりチェスが大好きだと行間から読み取れる文章に、読者の気持ちも盛り上がってくることでしょう。 世界トップレベルでチェスをプレーするとはどのようなことなのか、負けた側からという視点を知る貴重な記事だと思います。自分の失敗を語り尽くすプレーヤーの記事は珍しいからです。 負けてもチェスは面白いよと言っているようなアニッシュの解説から、新鮮な視点を得ることができるでしょう。

 以下、本当にチェスを愛するプレーヤーによる大会レポート!




© Frans Peeters

 非常にラッキーだったレジオエミリア大会の一週間後、僕はもうひとつ重要な、 毎年(4年も!)出場して年中行事になっているヴァイカンゼーでのミッションに出発することになった。 そのミッションは思い描いたとおりにはいかなかったが、しかし、ふくらんでいく僕の小さな旅行バッグの中に、 この価値ある経験がしっかりと収まったことだけは確かだ。

 前に書かれたこのトーナメントの記事に付け足すことは、そう多くない。 運営に関する限り、すべてがいつも通りに完璧で順調だったし、雰囲気も暖かく、考えられる限り最高の「チェス祭」だった。

 タタ・スティール・トーナメントは伝統のある大会であり、今年も3つのGMレベルのグループが設けられていた。 有名選手がそろい、巨大な会場がオランダのチェス・ファンで埋め尽くされていた。 そんなチェス的なモチベーションに加えて、忘れてならないのがその天候だ。 吹き荒れる風雨をものともせず会場にたどり着いたときなんかは、みんなも僕も何てチェスが好きなのだろうと思わずにいられないのだし、 だからこそ僕らは毎日デ・モリアーンと呼ばれる会場に集まり、盤上で火花を散らすことができる訳だ。


 13番のくじ

 僕は黒番で最初の相手はボリス・ゲルファントだった。 昨年と同じく僕のひいたのは13番のくじだった。 『そりゃラッキー・ナンバーだ』と言ってくれたアナンドはそこにいなかったけれど・・・(^^)


© E. Surov

 ボリスがスラヴのサイドラインを使ってきたのは、おそらく世界選手権のマッチの前に得意技を見せたくなかったからだろう。 僕たちはすぐに未知の領域に入っていったが、僕にはボリスが妙にあっさりとポーンを捨てたように感じていた。 捨てた代償は明らかに見えたが、そうなってみると両者は黒がすでに受け切っていることに気がついた。 ボリスはポーンを取り戻すこともその実質的な代償を得ることもできなくなり、すぐに一方的な展開になっていった。 ポーンひとつ差で勝ちきれるかどうかが微妙で、そこが興味の的だったのに、 僕は結局ミスをして勝てないエンディングにしてしまった。 それは何と3ポーン得(!)のルーク・エンディングで、 相手の白ルークが7段目で活躍しているおかげでドローになってしまうものだった。(図A) しかし、その後ボリスが何かまちがったのか、彼がポーンをひとつ取り返して、僕に7段目を譲ると、 なぜか僕が理論的に勝ちのエンドゲームになっていた。

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図A 48.Re7 までの局面  棋譜参照

 そんな熱戦の末に強豪を倒したのだから、僕のうれしさは半端じゃなかった。 でも、トーナメントは先が長いし、すぐにテイムール・ラジャボフとの対戦を準備しなくてはいけなかった。 そのゲームは奇々怪々なゼーミッシュ(定跡)だった。 最初は相手のポーン捨てが無理なように見えたし、テイムールの序盤実験は失敗だと思えた。 ところが、そのポジションが全然クリアーじゃないことが分かったときはショックだったし、 結局ドローのエンドゲームに落ち着いたので、むしろ助かったくらいだ。

 次のラウンドで、僕はカリャーキンに勝とうと必死だった。 彼は最初の2ゲームを負けていたので、それがチャンスと思っていたせいか 、1...e6?! から続けて 15...a5?!、20...f5?! などとはっきりしたミスを連発してしまった。 ひどいゲームだった。僕のポジションが確実に良いときもあったのだから、 僕がもっと肩の力を抜いていればゲームの結果は全然ちがったものになっていただろう。


 僕のナカムラに対するドローは、一番何の変哲もないゲームとなった。 序盤は僕のよく知らないラインに入りこんだので、流れに任せようと決めていた。 後で僕はその重要な(あるポーン・エンディングに導かれる)ラインが、 8歳のとき古い本で見たラインだったことを思い出したけれど、 僕の頭のニューロンがその日は接続していなかったらしい。


 まだまだ完璧!


© Fred Lucas

 レスト・デイの過ごし方はパッとしなかったし、思っていたより早く終わってしまった。 というのは一日中カールセンに対するプランを考えていたからだ。僕は単純に割り切ってキングズ・インディアンを目指すことにした。 彼はサイドラインの方で応じてきたが、それが功を奏した。 僕はすぐに混乱して、あまりに早くキングサイドを弱体化してしまったからだ。

 それでも僕はプラス思考でがんばっていた。 するとマグナスが、あまりに落ち着いた手 16.Rh5 を指したころから、風向きが変わり始めた。 その手ではなく、もっと強引で直接的な 16.fxg5?! の手を指した後、e4 、あるいは g4!? をねらうのが適切だった。

 どちらの場合にしても僕の白マスは苦しかったし、確かに僕自身も苦しかっただろう。 ところが、マグナスは僕の 22…Qd4 を見落としていた。 とはいえ、直後に彼は 22…Na4! という見事な返しを発見しているのだが・・・。 その手でゲームは新しい段階に突入する。

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図B 31.Bxf5 までの局面  棋譜参照

 白のエクスチェンジ・サクリファイス(24.Rxe3 ルークとナイトの交換)後の局面は、 注意深い分析が必要で、実際に僕がいいかどうかははっきりしなかった。 僕の直感では c8 ビショップを取る手(30.Nxc8)は必要ないという印象だったが、その手は効果があったようだ。 というのは、僕が当初考えていた、31.Bxf5 に対して Rb8 では、g4-g5 の手が心配になったきたからだ。 だが、ここが正念場で、僕が踏み込むべき所だったようだ。

 二人とも見えていなかったのは、(図Bから) 31…Rb8! 32.g4 b5 33.g5 のときに、黒は g5 に最後までおつき合いする必要なんかなく、 33…hxg5! 34.hxg5 Qe5! とすれば明確に優位に立てたという手順だった。 (相手も今頃その手順を発見しているだろう) いずれにしても、僕が勝てたかもしれないゲームを、 最後は冷や汗をかきながらドローを取るのが精一杯になってしまった。

 全部ひっくるめて考えれば、僕はこのゲームに満足だった。 たくさんミスもあり、完璧にはほど遠いが、闘志がぶつかり合ったゲームであり、 世界ナンバー1とプレーした者が感じる充実感があったからだ。

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図C 17.Qxa5+! までの局面  棋譜参照

 次の2局は、暑い会場に最後まで居残りとなったので、それが僕の残りのエネルギーをすべて奪ったにちがいない。 ガータ・カムスキーに対して、確かに僕は序盤で何も得られなかった。 彼の強手 13.Nd4! が見えなかったし、結果的に 15…Qb5 とされた後、うばわれたポーンの代償があったことは、もう ラッキーとしか言いようがなかった。

 すでにまずいなと感じていたときに、僕は 17.Qa4+! (図C)の強手があることに気づいた。 ガータはすぐに 17…b5 と応じたが、それがクイーン・トラップ(クイーンを閉じ込めて捕獲するワザ)となる 18.Qa5! を、 単に見逃した悪手だった。

 仕方なくピース・サクリファイス(駒捨て)した彼に対して、僕は不注意なミスを重ね、 気づいたときは高度な技術を要するポジションになっていた。 僕のチェスをご覧になってきた方々ならお分かりだろうが、 そのテクニックこそ僕に欠けているもので、みんなは、僕も含めてだけど、 カムスキーが疲れながらも無傷のドローで会場を後にするだろうと思ってしまうときがあったことは確かだった。


© E. Surov

 それでも僕はピースがひとつ多かったし、非常にゆっくりで不確かだけど、駒を組みかえることができた。 ちょうどナイトを f3 にすえたとき(66.Nf3)、僕は再度楽観的になることができ、それからすぐにカムスキーはくずれていった。

 またもや長くて疲れたゲームだったが、50%を超える勝率にもどったので、僕は次の相手、 ルーク・ファンヴェリーに備える気持ちでいっぱいだった。トロンポフスキー定跡をルークが選んだことは、 他の人たちほど驚かなかった。オランダのチームでトレーニングしていたときのブリッツでは、 僕らのゲームが少なからずそのオープニングで始まっていたのだから・・・。

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図D ここで60... f5+! の局面  棋譜参照

 相手が僕のブリッツでのプレーから準備をしてきたと分かっていたので、僕は今まで指したことがない 2… c5 ラインを選んだ。 そして、すぐに戦略的に複雑な局面に突入。僕は慎重になり過ぎてしまい、何かまずいと思ったときには、もうすでに遅かった。 それでも僕のポジションはずっと崩れず、タイム・コントロール(手数が増して持ち時間が増えるとき)までには、 悪いながらも何とか守り切れるエンドゲームだった。

 そこで、僕の 43. fxg4??  や、44. exd5?? は、f5 ができるという錯覚から来たブランダー(大悪手)だ。 その後のポジションはひどいものだったが、少し読み進めると、不思議なことに、僕にはまだドローのチャンスがあるような気がしてきた。

 実際、(図Dから)絶妙な手順 60… f5+! 61… Bxh4! でドローに切り抜けることができたのは、ラッキーとしかいいようがなく、 トーナメントはまだまだ完璧に思えていた。

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© Fred Lucas

 れ・ん・ぱ・い・・・連敗

 僕が残りのゲームのほとんどを(全部でないのはダヴィッド・ナヴァラのおかげ!)失うはめになると知っていたら・・・、 僕はガシモフと対戦するときにもっと注意深くプレーしていただろうと思う。 それが「終わりの始まり」だった訳だから。

 僕がこの自戦記を書くことにしたのは、このゲームのプレパレーション(序盤準備)の失敗が悪く言われ過ぎているからだ。 事実、僕の失敗で黒番の相手はそれほど良くはならなかった訳だし、悪手、 14. Kd2 もそんなにバカな手ではなかった。 その悪手の後もポジションは僕の方がむしろ良かったくらいだった。 実際に悪くなったのは、ひねり過ぎで不要な 17. Ra1? の後であり、これが僕の敗因なのだ。

  <ギリ vs. ガシモフ戦の 自戦記

 この場面でのレスト・デイが、もう一日早ければ・・・。 まあ、それでも休みはいつでも歓迎だし、気分を変える時間が増えてトーナメントにもどれることに文句はなかった。

 しかし、僕とイワンチュックとのゲームは想像できないほど最悪だった・・・。

 オープニングは大丈夫だった。特に悪手 14. Bf3? として14… Nd4! を許した後も、 僕は鬼手を連発して、相手にわずかなイニシアティブ(主導権)のあったものの、 互角のポジションにした。

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図E 47.Rxh5 までの局面 棋譜参照

 試合は33. c6 でドローに向かいつつあった。 僕は天才的な 33… Rc7?? を発見したが、まさにそれがミスだった。 34.Ne6 Rxc1 35.Nxc7 と応じられ、意図していた 36. Rb1 に対して 36… b5! の手を見落としていた。 それ以降、何回か僕が負けのポジションになったが、相手の方もこの日は不調だったようで、 結局、僕はドロー・チャンスが大きいと思えるルーク・エンディングにもっていくことができた。

 ところが、そこ(図E)でどうやってドローにするのかが分からなくなり、 これで助かったと思って指した 47… Rb7?? がブランダーだった。僕は2つのポーンでテンポを早める単純なよく見る手筋を完璧に忘れていたのだ。

 僕は 47… Ke6 と指すべきだった。以降 48. Rh6+ Ke7 49. Rh7+! Kd8 50. Rh5 のマニューバー(駒の組み換え)を恐れていたが、 a のパスポーンのおかげでチャンスがある局面だった。 たとえば 50… Rd7+! 51. Ke3 Ke7! 52. Rxg5 Ke6 53.f4 Ra7! ・・・。

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© ChessVibes

 さらに言わせてもらうと、1手前、白が 47. Rh6xh5 (図E)の代わりに、47. Kd5! だっだら、 ルークとキングが見事にかみ合いe ポーンがその役目を果たしていただろう。

 僕の次のゲーム、レヴォン・アロニアンとの対戦は、固く指すつもりでいた。 だが、レヴォンは、新しいが、疑わしい手、 8… Nb6!? で応じてケンカを売ってきた。 9… Nh5!? は驚いた。というのは、11. Ng5!? 以後、僕のプレパレーション(序盤準備)段階では僕の方がいいポジションとしていたからだ。 もっとも、11. Ng5!? の代わりに 11. Bg3 としていれば、得された c4 ポーンは守れないので、 安全で固いポジションのままだったろう。

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図F 47.Qg4-g3 までの局面 棋譜参照

 とにかく、僕は、13. Bf3!? をはじめ、15.Qe4! 17. Bxd6!? などの好手を見つけることができた。 ただし、僕の 19. Qg4-g3 (図F)は大きなミスだった。僕は 19… d5! による黒の考えを完全に読みまちがえたからだ。 僕はレヴォンが、ポジションの形が少し悪くなる d6 ポーンを受ける手で来るとばかり思っていた。

 19. Qg3? の代わりに、とても強力だったのは、この日の解説者ハンス・ベームが提案した 19. b3! だった。 c ファイルをオープンして、ルークをダブらせることで互角が確定しただろう。 黒は常に中和するカウンター・サクリファイスRxc6 を気にしなければならないからだ。 僕もレヴォンも、その単純、素朴で強力なアイディアを見落としていたのだ。

 最後のレスト・デイで、僕はサッカーで遊ぶ誘惑に勝てなかった。 (もっと早くそうするべきだった。)ヴガール・ガシモフが冗談で言ったように「時すでに遅し」だった。(笑)


© Fred Lucas

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図G 16... f6?? までの局面 棋譜参照

 サッカーは僕のいたオランダ・チームが勝ったので、チェスも同じように勝てるような気がしていたが、甘かった。ファビアーノは序盤をとても固くしっかりと指してきた。新しいアイディアの 10… h5!? で驚かせた後、 僕がしたかったのは、16… Nxe5 fxe5 17. f6 で互角にする手順だった。 しかし突然、変な手 16… f6?? (図G)に気づいた瞬間、僕は目がくらんでしまったらしい。

 16… f6?? 以後、17. Nxd7? Bxd7 だったら良かっただろうが、(図Gから) 一発17. Bxa5! が入ると、分かったことはポジションが明らかにひどく、救いようがないということだった。

 クラシカル・ゲーム(早指しでない試合)では一度も負けたことがないペトロフでさえも、僕を助けてはくれなかった。 (こんなときに2番続けて黒を持つなんて最悪もいいところだ)ヴェセリン・トパロフは上手いしっかりした指し方でゲームを勝ち切っている。

 僕の17… h6 はあまりに不注意だった。僕のセンター・ポーンが互角を保証してくれると思ったのがまちがいだった。 17… h6 の代わりに19… Rf5 がすべての問題を解決していただろう。

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© ChessVibes

 とにかく、僕はすでに得点を数えることは止めていて最終局をいいゲームで終わることしか考えていなかった。 自信がなかったせいか、僕は最終局の相手、ダヴィッド・ナヴァラを悩ませることはできなかった。 序盤でわずかにリードし、安全に指し進めると、少しプレッシャーを相手にかけるまでになった。 それこそ僕が望んでいたものだ。しかし、もう遅いと言われる前に、僕はどこかで連敗を止めたい気分になっていた。

 閉会式はいつも通りで暖かく、居心地が良かった。 恒例のヨハン・ファン・フルストの演説があり、伝統の豆スープも振舞われた。 大会は、レヴォン・アロニアンが優勝だった。 対戦相手に大きなプレッシャーをかけ続け、彼独特のプレー・スタイルで皆を惑わし、 チャンスをものにした。その点で文句をつけようがない優勝だった。

 さて、僕はといえば、お分かりだろうが、自分のプレーに全然満足していない。 それでもこの貴重な経験が、将来僕の糧になることを、僕は確信している。 とりあえず、ヴァイカンゼー(現地読みした開催地の地名)に別れを告げよう。 地平線にはヨーロッパ選手権が見えているのだから!




 ヴァイカンゼー

tata 2012年01月13日〜2012年01月29日

タタ・スティール・チェストーナメント2011、オランダ

 残念な結果に終わったヴァイカンゼー

 「ヴァイクでは落ち込む結果だったけど、次の大会で生かされる経験になったと思う。さて、3月までは学校で忙しい・・・(^_^;)」byアニッシュ

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サッカーでは成果があったが・・・。前列左から2番目がアニッシュ © Official website

 アロニアンの単独優勝

 グランドマスターAグループはアロニアン(アルメニア)でした。 「自分の中で最高の結果だ。チェス界のウィンブルドンで勝てたことがうれしい。」のだそうです。 同率2位はカールセン(ノルウェー)、カルアーナ(イタリア)、ラジャボフ(アゼルバイジャン)でした。 カルアーナとラジャボフも満足の結果だったことでしょう。

 アロニアンは素晴らしいゲーム内容であり、優勝は当然でしょう。Bグループはアジアの星ハリクリシュナ(インド)が、Cグループはロシアのチュロフ(ロシア)が優勝しました。 各グループに出ていた女性マスターたちもがんばりました。特にCに出場のペーツ(ドイツ)が取った7ポイントが光りました。

 以下、Aグループのみクロステーブルを掲載しておきます。


   選手名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 得点
1 ナヴァラ   ½ 0 0 0 ½ 0 ½ ½ 0 1 ½ ½ ½ 4.5
2 ゲルファント ½   ½ 1 0 0 ½ ½ ½ 1 0 0 0 ½ 5
3 ラジャボフ 1 ½   1 ½ ½ ½ ½ 1 ½ ½ ½ ½ ½ 8
4 カリャーキン 1 0 0   ½ 1 0 1 ½ ½ 0 0 1 1 6.5
5 ナカムラ 1 1 ½ ½   ½ ½ 1 ½ ½ 0 ½ ½ ½ 7.5
6 カールセン ½ 1 ½ 0 ½   ½ ½ 1 ½ 1 ½ ½ 1 8
7 カムスキー 1 ½ ½ 1 ½ ½   ½ ½ ½ 0 ½ 0 1 7
8 ファンヴェリー ½ ½ ½ 0 0 ½ ½   ½ ½ ½ ½ ½ ½ 5.5
9 ガシモフ ½ ½ 0 ½ ½ 0 ½ ½   0 0 ½ 1 ½ 5
10 イワンチュック 1 0 ½ ½ ½ ½ ½ ½ 1   ½ ½ 1 ½ 7.5
11 アロニアン 0 1 ½ 1 1 0 1 ½ 1 ½   1 1 ½ 9
12 カルアーナ ½ 1 ½ 1 ½ ½ ½ ½ ½ ½ 0   1 1 8
13 ギリ ½ 1 ½ 0 ½ ½ 1 ½ 0 0 0 0   0 4.5
14 トパロフ ½ ½ ½ 0 ½ 0 0 ½ ½ ½ ½ 0 1   5

 


恒例の打ち上げパーティー。地元の豆スープが振舞われる。 © Chessvibes

これまでのアニッシュの棋譜を鑑賞できます:  more01

      ライヴ中継 (日本時間21:00~3:00くらい)

      トーナメントの結果 (公式サイト)

     記事: チェスベースチェスヴァイブス



優勝のスピーチをするアロニアン,レヴォン。 © Chessvibes

 第13ラウンド

 これが最終回です。アニッシュは白番でナヴァラと最下位どうしの対戦です。ドロー以上であってほしいと願っていましたが、 無事最終戦をドローに終わりました。今回のアニッシュの結果は非常に残念でしたが、 アニッシュでもこんなときがあるのかと逆に驚きました。次の大会に期待しましょう。

 次々とドローが出る中、このラウンドの興味は、ラジャボフがどれだけ黒番でがんばれるかでしたが、 序盤で早々とドローにしてしまいました。「自分の準備した序盤ではなかった」らしいのですが、 チェス界の悪い風習が生きていました。その時点でアロニアンの単独優勝が決定です。 他はカルアーナが最後までがんばり、ゲルファントを下しました。カムスキーもトパロフに勝ち。


今回はゲストで試合の行方を見守るクラムニック。4月にアロニアンとマッチを行うことを発表した。 © Chessbase


休日はサッカーで気晴らし。左がカールセン、右でボールを追うのがギリ,アニッシュ。 © Official website

 第12ラウンド

 とうとう5連敗・・・。元世界チャンピオン相手でしたが、アニッシュの得意技ペトロフで挑戦し、互角かと思われました。 しかし、そこから普段のアニッシュらしくない弱気なディフェンスで、じわじわと差を広げられました。これで最下位です。一体全体どうしたのでしょう??

 トップ争いは、アロニアンが優勝へダメ押しの一勝をあげました。前ラウンドの敗戦を引きずらず、黒番でゲルファントをうまい差し回しで寄せ切りました。

  対抗するラジャボフは覇気がなくイワンチュックと早々にドロー。 また、カールセンは、一時敗勢でしたが、ぎりぎりで何とかカムスキーにドロー。しかし、アロニアンとの差は1ポイントです。 追いかけるカールセンもラジャボフも次は黒番で勝ちに行くしかありません。 一方、ドローでも単独優勝のアロニアンは白番でラジャボフと対戦します。 「今日のようなチェスをして様子を見るかな。」とインタビューに答えていたアロニアンですがどうなるでしょうか。(ラジャボフには自力優勝の可能性があります)他はナカムラがファンヴェリーに貫禄勝ちした以外はドロー。


カルアーナ(右)とギリ(左)、若手どうしの対戦 © Chessbase

 第11ラウンド

 4連敗になりました。相手は若手ライバルのカルアーナで、序盤は十分だと思ったのですが、中盤で潰されてしまいました。 アニッシュがこれだけ苦しむ大会を見たことがありません。こうなると開き直り、あと2ラウンドは遊びか勉強のつもりで臨むしか無いでしょう。がんばれ、アニッシュ!

 最下位のナヴァラがトップのアロニアンを黒番で倒しました。これだけでなく、このラウンドは大荒れでした。 いい所がなかったゲルファントが単独2位のイワンチュックに勝ち。カリャーキンが調子良かったファンヴェリーに勝ち。 ラジャボフはガシモフに勝ち。カールセンは、トパロフに対し、負けかというゲームを勝ちとしました。 元世界王者から得たカールセンの逆転(?)勝ちは見事でした。彼が世界一だという証明を見た思いです。これでカールセン再び首位をねらう位置に戻りました。

 カールセンとカルアーナの2局以外、勝ったのは黒番が4局ということで、「プロのチェスは黒番が有利」と結論が出ました。それは冗談ですが、しかし、・・・一体何というトーナメントでしょう!

 現在1位がアロニアン、そして、わずか半ポイント差で2位カールセンとラジャボフが追うおもしろい展開となりました。 首位と1点差の4位カルアーナ、イワンチュックまでが優勝圏内でしょうか。

 第10ラウンド

 アニッシュが3連敗となりました。これは相手のアロニアンがうまかった。 黒番ながら天才的なポジショナル・サクリファイスで主導権を取り、 コンピューターが互角としている20手あたりでもアニッシュの指し手が難しい状態でしたから、 これは完敗といっていいでしょう。何とか気持ちを切り替えたいところです。

 アロニアンは単独1位を守り、1点差の2位にナヴァラに勝ったイワンチュックが上がって来ました。 3位のカールセンとラジャボフはトップと1.5点差なので優勝は相当厳しい状況。 他、カムスキーがカリャーキンに勝ち、カルアーナがトパロフに勝ちです。


どうしたのか連敗のアニッシュ © Chessbase

 第9ラウンド

 2回目のレスト・デイが終わりました。 気分を変えてアニッシュがどんなプレーをするか楽しみでしたが、連敗となってしまいました。以下公式サイトの記事です。

 「オランダ・チャンピオンのアニッシュ・ギリは彼のファンを意気消沈させることになった。 すっきりしない前のラウンドの失敗に続き、火曜日も負けてしまったのだ。 ウクライナのワシリー・イワンチュックにQGDで対抗したが、17歳のグランド・マスターは重圧に耐えながらも果敢に47手以前までは戦うことができた。 しかし、不注意にも白の f4! を読み落としたため、10手後にリザインすることになった。」

 これで入賞さえ難しい状況になりました。しかし、残りのラウンドは彼らしいゲームでしめくくってほしいところです。次は単独トップのアロニアンと!

 優勝争いは劇的な展開になりました。アロニアンが早々にカルアーナに勝ち。 それがプレッシャーとなったか、カールセンがカリャーキンに負けてしまいました。これでトップのアロニアンをラジャボフ、カールセン、イワンチュックの3人が1点差で追う展開となりました。残り3ラウンドです。 アロニアンが逃げ切れるのかどうか・・・。

 第8ラウンド

 白番でガシモフと戦い、残念ながら38手であっさりと負けてしまいました。本人の言葉では、序盤早々アニッシュが指した Bd5 が悪手であり、そこからはまったくいい所なしだったようです。対するガシモフはかなり強いプレーヤーですが、今大会は初勝利です。アニッシュたちのゲーム以外、このラウンドは結局すべてドローでした。レストデイをはさんであと5局ありますから、気持ちを切り替えてがんばってほしいと思います。まだ勝率50%なのですから!

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アニッシュとルークの師弟対決 © Official Website

 第7ラウンド

 トーナメントは後半戦に入りました。このラウンドは元師匠ファンヴェリーとの対戦でしたが、「ひどいミスをした」アニッシュには非常に厳しいゲームとなりました。 白はトロンポフスキーの奇襲からルークをセンターに回してブレークする作戦が功を奏し、黒のアニッシュは一方的に集中砲火をあびる展開に・・・。 しかし、アニッシュは相手に決め手を与えずに我慢を重ね、最後は美しいビショップサクリファイスにより、からくも逃げ切ることができました。

 カールセンがゲルファントを攻めきって勝ち、今回ドローだったアロニアンに並びました。ごく僅かな有利を勝ちに結びつけたのはさすが世界1です。 この二人が期待にたがわず、激しいトップ争いを演じています。 アロニアンに勝てそうかと問われてカールセンは「この大会では分からないけど、レイティングは上だからね」と答えていました。

 この大会の興味のひとつは久しぶりの表舞台でトパロフがどうなのかでした。しかし、カリャーキン相手に得意のポジショナル・サクリファイスを披露するも負けとなり、今ひとつです。 また、大不調のナヴァラがまたカムスキーに負けました。他はドローとなり、ラジャボフが単独3位。アニッシュはナカムラ、イワンチュック、カルアーナとともに4位であり、優勝の可能性も残っています。

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アマチュア・グループの会場 © Official Website

 第6ラウンド

 アニッシュが白番で現全米チャンピオンをねじ伏せました。 カムスキーは黒番ながらアニッシュのキングに猛攻を仕掛けましたが、アニッシュはしっかりと受けきりました。 その後、アニッシュのピースアップながら難しいエンドゲームでしたが、粘ったカムスキーも 86 手でついにリザイン。こうなると、まあまあどころかアニッシュが上位争いにからんできました!

 他のゲームでは、ナカムラとラジャボフが勝ち。ガシモフに勝ったアロニアンが、4.5点で、直接対決で負けた4点のカールセンからトップを奪い返し、面白い大会にしています。他にラジャボフが4点でカールセンと同率2位。トーナメントは前半戦が終わり、アニッシュは現在、ナカムラ、カルアーナ、イワンチュックとともに4位同率です。

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カールセン(左)対ギリ(右)、5ラウンド開始 ©Chessbase

 第5ラウンド

 両者は安易にドローにせず、キングだけになるまで戦いましたが、エンドゲームまで集中していたアニッシュはドローに持ち込むことができました。途中、22...Qd4! はすばらしい構想であり、わずかに優勢の場面もありました。「いろいろあった一日だった。まずマグナスと熱戦の末にドロー(勝ちもあり得たが・・・)、その後に嵐の中の散歩・・・。次はカムスキーと!」(アニッシュのツイッターより)

 他の試合はイワンチュック、ナカムラ、ゲルファントが勝ち。カールセンとアロニアンの両者がわずかにトップ。他の選手の激しい潰し合いが続いています。

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アニッシュ,ギリ ©Fred Lucas

 第4ラウンド

 前回の覇者ナカムラはシシリアン・ドラゴンでアニッシュに対抗しました。アニッシュは簡単に単純化を許し、早々のドローで終わらせました。前回、ひどい負け方だったので自重したのかもしれません。ともかく、ここまで50%の勝率は、まずまずの位置といえます。

ここでレスト・デイ(休み)が入りました。

 アニッシュのコメントは、「エキサイティングで冒険的な出だしの後のレスト・デイを楽しんでいるところ(^^) 明日もまた楽しみな一局、マグナスと黒番で対局!」でした。レイティング世界1とどのように戦ってくれるでしょうか。昨年はグリュンフェルトで黒番アニッシュが勝っているだけにマグナス・カールセンも心して対局に臨むことでしょう。

 現在の順位はカールセンとアロニアンが3点で1位、カルアーナ、ラジャボフが2.5点で3位、カリャーキン(2敗から巻き返し!)、イワンチュック、トパロフ、ファンヴェリー、そしてギリ・アニッシュが2点で続いています。

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カールセン(左) と アロニアン(右) ©Chessvibes

 第3ラウンド

 このラウンドは、カリャーキンに負けてしまいました。得意のペトロフでなく、普段使わないフレンチに行ったのですが・・・。でも、これで1勝1敗1分の五分ですので、まだまだこれからでしょう。

 一方、レイティング世界ナンバー1のカールセンと全勝のアロニアンという注目の対戦は、カールセンが熱戦を勝ち切り、トップを奪い返し、単独首位に立ちました。他の試合ではラジャボフがナヴァラに勝ちという以外はドローでした。

 第2ラウンド

 ラジャボフに対し、白番で挑みましたが、ポーンを取ったものの黒の駒が働いている局面となり、難しい局面でアニッシュがドロー・オファーをしました。

 カルアーナがカリャーキンを白番で破りました。また、注目カードのアロニアン対ナカムラは、アロニアンが前チャンピオンのダッチ・ディフェンスを破り、連勝で単独首位に立ちました。

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ゲルファントとアニッシュ ©Chessbase

アニッシュが1ラウンド勝ち!

 第1ラウンド

 アニッシュが黒番でゲルファントをエンドゲームで押し込みました。相手は、世界選手権の挑戦者でした。しかも内容が良く、このラウンドのベスト・ゲーム賞(500ユーロ)を獲得しました。絶好調のスタート。しかし、まだ大会は始まったばかり。入賞、いや優勝をねらいたいものです。

 他のボードでは優勝候補のカールセンとアロニアンが勝ち星をあげ、他はドローでした。

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会場周辺 ©Chessbase
アマチュア大会会場 ©Chessvibes
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開会式 ©Chessvibes
アニッシュはヒカルと談笑 ©Chessvibes

 

 トーナメント開始前

 通称ヴァイカンゼー。タタ・スティール・チェストーナメントが1月13日から始まります。

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昨年、 カールセンとの対局 に勝利したアニッシュ

 この大会は世界でもトップ・クラスの大会であり、世界で活躍するマスターたちを集め、3つのグループのラウンドロビンで競われます。 アニッシュは最上位のAグループに参加。世界ナンバー1のカールセン、ナンバー2のアロニアンらと対戦します。

  昨年 は、 2位3位のカールセン、アナンドを抑えてナカムラ,ヒカルが優勝して話題をさらいました。 アニッシュも14人中7位の大健闘でした。( このサイトでの記事 参照)さて、今年はアニッシュがどこまでやってくれるでしょうか。

 応援をお願いします!


 グランドマスターAグループ エントリー・リスト

(シード) 氏 名
ランク
ELO
生年
1.カールセン,マグナス
NOR
1
2835
1990
2.アロニアン,レヴォン
ARM
2
2805
1982
3.ラジャボフ,テイムール
AZE
5
2773
1987
4.トパロフ,ヴェセリン
BUL
6
2770
1975
5.カリャーキン,セルゲイ
RUS
7
2769
1990
6.イワンチュック,ワシリー
UKR
8
2766
1969
7.ガシモフ,ヴガール
AZE
10
2761
1986
8.ナカムラ,ヒカル
USA
12
2759
1987
9.ゲルファント,ボリス
ISR
16
2739
1968
10.カルアーナ,ファビアーノ
ITA
17
2736
1992
11.カムスキー,ガータ
USA
20
2732
1974
12.ギリ,アニッシュ
NED
28
2714
1994
13.ナヴァラ,ダヴィッド
CZE
30
2712
1985
14.ファン・ヴェリー,ルーク
NED
54
2692
1972
平均レーティング:2754.5 カテゴリー:21

 ※ チェス界では姓から書くのが標準となっている。外国では名前から書くに 決まっているとするのは間違い。ハンガリー、中国など、姓から書く文化圏も少なくない。 (余談だが、ロシア、ネパールでは家で靴を脱ぐという!)

 大会の詳細は、 公式ページ(英語) で。

チェス大会プロフィール
大会名 タタ・スティール・チェス・トーナメント
日 時 1月14日~29日(休日18日、23日)
場 所 ヴァイカンゼー(オランダ)
形 式 ABCの各グループ14名総当り、13ラウンド
持ち時間 40手まで100分、40手超50分追加、60手超15分追加、+初手から1手30秒累加