アニッシュの記事 2011年05月

 キャンディデート・マッチ(世界選手権予選)


写真:ウラジミール・バルスキー

5月初旬。ここ数日、チェスのプロの目も、アマの目も、カザン(ロシア)のキャンディデート・マッチに注がれている。世界チャンピオンのアナンドへの挑戦者を決める勝ち抜きトーナメントのことである。

1回戦に勝ち抜いたのはゲルファント(マメジャロフを2.5対1.5で破る)、カムスキー(トパロフを2.5対1.5で破る)、グリシュック(アロニアンを2対2、2.5対1.5のラピッドで破る)、そして最後に一番の激戦の末ラジャボフを征したクラムニックだ。(2対2、ラピッド2対2、ブリッツ1対1、1.5対0.5)。

ゲルファントは、ナイドルフ定跡を採用し、強いマッチ戦略を取ったおかげで黒番で勝つことができた。ボリス・ゲルファントの固い棋風を考慮すると、この1勝は、トーナメントを勝ち上がるのに十分だった。

マメジャロフ対ゲルファント   
 (↑:上のリンクは未完成です!)


カムスキーは得意のグリュンフェルトでかなり苦しんでいた。トパロフと仲間たち(チェパリノフとラミ)の仕事はかなりうまくいったようだ。ところが、カムスキーとちがって、トパロフの調子が今ひとつで、白番は2つともチャンスを活かすことができず、それどころか1局は落としてしまった。

トパロフ対カムスキー   
 (↑:上のリンクは未完成です!)


写真:ウラジミール・バルスキー

グリシュック対アロニアンは大接戦だった。ここでもまたレヴォン・アロニアンはグリュンフェルトに対してよく準備していたのは明らかだ。しかし、グリシュックは本当に受けの名人だということを見せつけ、黒番のゲームすべてで奇跡的に逃げ切ることに成功した。さらにラピッドでは1勝をあげてしまった。
あえて言うと、このマッチは、本戦であるクラシカルの部分を見ただけで、僕には、結末が明らかに思えた。グリシュックが同じように固いディフェンスを続け、運が彼に味方し続けるなら(運のあるなしは確かにある)、レヴォン・アロニアンができることはほとんどないことが明白になってきたのだ。そして、実際マッチはラピッド最後の2局で決まった。グリシュックは3局目で、またまた半分負けの局面を拾い、最後の試合ではレヴォンを振り回した。次期まで挑戦権はお預けとなった優勝候補レヴォンには痛い敗戦であり、一方、グリシュックには大きな達成点となった。

[このマッチは普通の持ち時間(クラシカル)で4局行い、決着がつかなければ早い持ち時間(ラピッド)で4局行う。さらに2局ずつブリッツのタイブレークとなるルールだ。]

グリシュック対アロニアン   
 (↑:上のリンクは未完成です!)


ラジャボフ対クラムニック戦は、チェス・ファンには非常に退屈なゲームだったらしい。事実、両者がプレーしたのは守り一辺倒のラスカー定跡だった。クラムニックが 1...Nf6, 2...e6 の手順で、テイムール・ラジャボフは 1...d5, 2...e6 の手順によって、どちらも黒番の問題を簡単に解決していた。ともあれマッチはテイムールが目標通りにブリッツ戦に持ち込むまで事件は起こらなかった。テイムールは最初のゲームを勝ったが、運は彼の方になく、ブリッツで負けなくて良かった2局を失い、彼は負けを認めることになった。いい状態で経験あるマッチ・プレーヤーのクラムニックと互角に渡り合っていたテイムールにとっては非常に残念な結果だった。

ラジャボフ対クラムニック   
 (↑:上のリンクは未完成です!)